「ボイス×AI」でコロナワクチン接種受付を完全自動化
今野氏は今後、コミュニケーションツールとAIの組み合わせが新たなトレンドになると予想し、日本での先進事例として、AI Shift社の「ボイスボット事業」を紹介した。
AI Shiftは2019年にAIチャットボット事業で創業したスタートアップで、2021年から新事業としてボイスボット事業を開始している。ボイスボットとは、音声認識と対話戦略(AIが最適な回答を判断する)、音声合成を組み合わせて電話応対を自動化するソリューションだ。
事業の本格開始後からまだ半年余りながら、ボイスボットの導入事例はすでに80を超え、その1つにコロナワクチン接種の予約受付がある。AI ShiftがTwilioを活用して開発した「AI Messenger Voicebot」が、予約の電話をかけてきた利用者と対話して希望会場・日時、接種券番号を聞き取り、希望日に空きがなければ代替候補を提示する。
AI Shift 代表取締役社長の米山結人氏によれば、1時間で1000件以上の受付をこなしているという。
もう1つ、大手法律事務所では、営業時間外のコールバック予約受け付けに活用されている。
同事務所では、営業時間内は人間のスタッフが電話受付を行っているが、営業時間外の機会損失を防止することを目的にAI Messenger Voicebotを導入した。法律相談の希望時間、名前、電話番号の聞き取りといった一次請けに用いている。「コスト削減が目的ではなく、機会損失を無くして売上を上げるために導入された。月間で100件以上の案件を営業時間外に取得できている」
AI Shift 代表取締役社長の米山結人氏
日本に独自の開発者コミュニティ
AI Shiftの米山氏によれば、Twilioを採用した決め手は、開発機関の短縮とコスト低減の効果。「プロトタイプは数週間で開発でき、本格的なプロダクト開発も数カ月でできた。電話に関する専門的な知識がなくても開発できる」
Twilio Japanではこうした動きをさらに加速させるため、パートナーの拡充とともに、開発者コミュニティ活動の強化にも力を入れているという。グローバルではすでに1000万人超の開発者コミュニティが存在しており、2021年3月には日本法人でも独自のコミュニティ活動を開始。9月時点で会員数は900人を超えたという。