新型コロナウイルスの感染が拡大した昨春以降、多くの企業がテレワークを主体とする新しい働き方へ移行している。
テレワークの導入に際しては、従来業務の見直し作業が発生するが、その1つに固定電話の受話対応がある。
これまで、オフィスの大代表や部門の代表番号にかかってきた電話は手の空いている人が受けて取り次いでいた。テレワークになって社員は自宅などで働くようになったが、固定電話はオフィスから持ち出すことができず、オフィスに取り残されたままだ。電話対応のためだけに感染リスクを冒して出社するという本末転倒な事態も起きている。
テレワーク中に会社宛てにかかってきた電話に対応する簡単な解決策として、転送サービスがある。
緊急事態宣言を受けて「明日からテレワークを始める」ための“急場しのぎ”に導入した企業は少なくないが、登録できる転送先が限られているほか、社員の携帯電話番号を取引先などに広く知られるといった問題がある。このため、新型コロナの収束の見通しが立たないなか、より長期的な視点から固定電話の在り方を見直す企業を中心にクラウドPBXの導入が加速している。
クラウドPBXは、構内に設置していた主装置(PBX)をクラウド上に構築し、インターネット回線を用いて内線/外線通話や代表番号発着信、保留転送などの機能を利用可能にする。インターネットがつながる環境であれば場所を問わず使うことができ、スマートフォンやPCなどデバイスの種類も問わないことから、テレワークに適した電話環境としてあらためて注目を集めている(図表1)。
図表1 INNOVERAの構成