エリクソンがクラウドRAN(Radio Access Network)製品を発表したのは2020年10月のことだ。同社はこれを、従来型RANソリューションを補完するラインナップと位置付けており、2021年第4四半期にその第1段階の商用製品を提供する計画である。
このクラウドRANは、5Gネットワークにどんな進化をもたらすのか。そして、従来型のRANとどのように共存、あるいは置き換わっていくのか。エリクソン・ジャパンは2021年6月24日にメディアブリーフィングを実施し、その具体像を示した。
クラウドRANで「仮想化とオープン化を推進」
5Gネットワークを展開する通信事業者は今、RANの仮想化とオープン化に積極的に取り組んでいる。まず、このトレンドとエリクソンのクラウドRANソリューションの関係から確認しておこう。
エリクソン北東アジア ネットワークエボリューション統括本部長の鹿島毅氏によれば、同社はクラウドRANを「仮想化やオープン化を推進するためのプラットフォームとして位置付けている」という。
仮想化RAN(vRAN)とオープンRANのイメージ
これまで専用装置として提供されてきたベースバンドユニットをハードウェアとソフトウェアに分離し、汎用サーバーとRANソフトウェアで構成できるようにすることでコストの最適化や柔軟性・プログラマビリティの向上を実現しようというのが仮想化の目的だ。
そして、オープン化はこれに加えて、無線ユニット(Radio Unit)とベースバンドユニット間、および管理システムとの間のインターフェースを標準化し、マルチベンダー構成を可能にすることを目指している。ドコモ等が推進するO-RAN Allianceの取り組みがその代表例だ。
この方向性は、クラウドRANにも共通する。そのうえで、マイクロサービスアーキテクチャ等のクラウドネイティブ技術を活用する点が、クラウドRANの最大の特徴だという。
エリクソン 北東アジア ネットワークス ネットワークエボリューション統括本部長の鹿島毅氏
では、クラウドRANにはどのような具体的なメリットがあるのか。鹿島氏は、エリクソンがクラウドRANを推進する理由を「ビジネス」「技術」「エコシステム」の3つの観点で説明した。