ジュニパー古屋社長「5G時代はマルチベンダー、AI自動運用をレベル4以上へ」

クラウド化が進むなか、この数年で大きな変化を遂げたというジュニパーネットワークス。「エンタープライズ市場をどんどん開拓していける状況」と古屋社長は話す。5G時代に入った今、戦略の頂点に掲げるのは「エクスペリエンスファーストネットワーキング」だ。マルチベンダー環境への対応、AIによる運用自動化などを強みに、通信事業者やエンタープライズの「ビジネスパートナー」を目指すという。

――世界は今、大きな変革期にありますが、そうしたなかジュニパーネットワークスも変化のときを迎えているのでしょうか。

古屋 この2~3年、ジュニパーはグローバルでかなり大きな変化を遂げてきました。

ジュニパーというと以前はサービスプロバイダー(通信事業者)、さらにはクラウドプロバイダーのお客様に強みを持っているメーカーという印象が大きかったと思います。

しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展し、データの流れがクラウドに向かっているなか、エンタープライズのビジネスがこの数年、加速度的に伸びています。クラウドでの技術が、今度はエンタープライズで求められているからです。

私たちは元々持っていたサービスプロバイダーネットワークの技術をベースに、クラウドのネットワークを構築してきました。ジュニパーは設立当初からマルチベンダー環境をサポートし、なおかつディスアグリゲーション(機能分離)されたオープンなソリューションをコンセプトに開発してきました。このオープンというコンセプトが北米の大手クラウドプロバイダーのニーズにぴたりと合致したのです。

クラウドプロバイダーの環境は、単一のネットワークベンダーのソリューションでは構築できません。また、DevOpsの考え方で迅速にネットワークの設計やサービスのリリースが行える環境を必要とされており、自動化を大変重視されています。こうした要求を実現するのに、ジュニパーのソリューションが大変適していたのです。

そして今、エンタープライズのデータの流れはますますクラウドへと向かっており、企業ネットワーク自体がクラウドへと移行していくような状況が発生しています。

この流れの中でエンタープライズは小さなクラウド、すなわちオンプレミスのデータセンター環境を構築する必要に迫られています。

ジュニパーはクラウドで培った技術により、データセンターは非常に得意です。マルチクラウド接続についてもサービスプロバイダーで培った技術がありますので当然得意です。こうした関連性により、エンタープライズ市場をどんどん開拓していける状況にあるのです。

ジュニパーネットワークス 代表取締役社長 古屋知弘氏

――実際、どれくらいエンタープライズの売上は伸びているのですか。4年前に古屋社長にインタビューしたときは、ジュニパーの売上全体に占めるエンタープライズの割合は3割ほどとのことでした。

古屋 この2~3年、エンタープライズビジネスはグローバルで伸びており、ジュニパーの売上全体に占める割合も4割くらいに近づいてきました。あとはサービスプロバイダーが4割超、クラウドプロバイダーが2割弱という売上構成です。非常にバランスが取れてきたと見ています。

オンプレのクラウド、マルチクラウド接続に加えて、コロナの影響によって昨年からはリモートワーク環境整備のニーズも非常に高まっています。また、コンシューマーの方々のネット使用率も上がっており、サービスプロバイダーのネットワーク需要も大変伸びています。加速度的に進むDXをサポートするなか、ジュニパーのビジネスも堅調に成長しています。

月刊テレコミュニケーション2021年5月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

古屋知弘(ふるや・ともひろ)氏

2015年5月にジュニパーネットワークス 代表取締役社長に就任。ジュニパー入社以前は、2010年にテラブス・ジャパンの代表取締役社長に就任し、その後、2013年12月テラブス社とコリアント社の合併に伴い、コリアント・ジャパンの代表取締役社長を務めた。また、それ以前は、日本アルカテル・ルーセント IP事業部ジェネラル・マネージャー兼ソリューション・ディレクター、リバーストーン・ネットワークス 代表取締役社長などを歴任している。米チャップマン大学においてファイナンス専攻で学士号を取得

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。