IDC Japanは2021年6月14日、イーサネットスイッチ、ルーター、企業向け無線LAN機器からなる国内ネットワーク機器市場について2020年のベンダーシェアを発表した。
2020年の国内ネットワーク機器市場は、商用5Gサービス開始やGIGAスクール構想、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大といったさまざまな要因の影響を受けた。とりわけGIGAスクール構想は企業向けネットワーク機器市場を力強く牽引し、ネットワーク機器市場のベンダーランドスケープに変化をもたらしたと同社は分析した。
トップシェアはシスコシステムズで、48.3%と半数近いシェアを押さえ不動の地位を保った。GIGAスクール向けでは、豊富な導入実績とクラウド管理型ソリューションやWi-Fi 6対応製品を始めとする製品力の高さを生かし成功を収めたと評価。また同社は通信事業者向け市場でも、5Gサービス向けルーター、イーサネットスイッチでこれまでのところ最も成功を収めているベンダーとして高いシェアを獲得したとしている。
国内ネットワーク機器市場 ベンダー別 支出額シェア実績、2020年
シスコ以外では、GIGAスクール向けビジネスで成功を収めたアライドテレシスと日本ヒューレット・パッカード(HPE)が2020年は躍進した。
アライドテレシスは、それまでに築き上げていた顧客との良好な関係性を生かした適切なネットワークの提案とスムーズな展開がGIGAスクール向けビジネスでの成功の鍵を握ったと分析。また、近年注力してきた無線LANソリューションの強化も功を奏したという。
HPEも、クラウド管理型ソリューションとWi-Fi 6対応製品を武器に、GIGAスクール向けで成功したベンダーの1つになった。GIGAスクール向け以外でも、顧客やパートナー基盤の拡大によって企業向けイーサネットスイッチおよび無線LAN機器市場でシェアを伸ばした。
同調査では、GIGAスクール構想が2020年の企業向けネットワーク機器市場に大きな恩恵をもたらしたとする一方、特需後の2021年以降は厳しい市場環境が予測されるとしている。IDC Japan コミュニケーションズのグループマネージャーである草野 賢一氏は、「GIGAスクール向けビジネスで成功した企業向けネットワーク機器ベンダーも、期待に届かなかったベンダーも、そこで得た製品、パートナー、顧客との関係性に対する経験を、2021年以降の企業向けネットワーク機器市場での競争に生かすべきである。特にGIGAスクール向けで十分な成功に至らなかったベンダーは、製品展開や顧客との関係性構築の遅れといった要因をどのように改善し、次の機会にどのように備えるかを十分議論すべきである」と述べている。