2020年11月、NTTコミュニケーションズが日本で初めてデータセンター相互接続(DCI)に「1波800G」の回線速度を持つ光伝送技術を導入した。1波長で最大800Gbpsの超高速伝送が可能になることで、近距離のメトロDCIで最大33.6Tbpsの容量が実現するという。
この光伝送ソリューションはシエナが2020年3月に製品化したものだ。日本シエナコミュニケーションズ システムエンジニアリング部 ディレクターの瀬戸康一郎氏によれば、ニーズは北米のクラウド事業者を中心に高まっているという。「400ギガイーサネット(GE)の普及をにらんで、400GEを2ch、100GEを8ch運べる800G伝送の導入が始まっている」。
「帯域はある」が前提に動画配信やクラウドゲーミング等のエンタメ領域はもちろん、Web会議、オンライン教育や医療と、今や社会生活・経済の大部分がネットワークに依存する状況の中、トラフィック量の伸びは天井知らずだ。「新しいビジネスモデルの大半がクラウドベースで、帯域がふんだんにある前提で考えられている」と瀬戸氏。5G/IoTが普及し、膨大なデータを食うAIが社会に浸透すれば、さらにこの流れは加速する。
この帯域需要を背景にDC内や隣接DCIでは2021年、100GEから400GEへの移行がいよいよ始まりそうだ。図表1の通り、調査会社のLight Countingは2020年から400GE光トランシーバーの出荷が目に見えて増大すると予測している。2023年には、現在主流の100GEと400GEの販売額が逆転する見込み。また、2022~23年には次世代規格である800GEの普及も始まるとの予測だ。
図表1 400/800GE 光トランシーバーの販売予測
800GEはIEEE802.3グループで2025年頃を目処に標準化が進められる。業界団体の動きも活発化しており、2020年4月にはEthernet Technology Consortiumが800GE仕様を公開。シスコシステムズなど8社がプロモーターである「QSFP-DD800MSA」も、800GEをサポートする光トランシーバー仕様を発表した。
2021年は、こうした800GEに関する動向も活発化してくるはずだ。
「QSFP-DD800 MSA」のWebサイト