中小規模向けVPNルーターを「緊急」提供 ヤマハの「RTX1220」

ヤマハは新しい中小規模向けVPNルーターをリリースする。中小規模向けのベストセラー製品である「RTX1210」の後継機で、ISDN関連機能を外し価格を下げたうえでの提供だ。背景にはコロナ禍でRTX1210への注文が殺到し、生産が追い付かなくなったという事情がある。


ヤマハは2020年12月16日、ギガアクセスVPNルーター「RTX1220」を2021年3月に発売すると発表した。「緊急でのリリース」だとヤマハ 音響事業本部 コミュニケーション事業部 商品戦略グループ 主任 千頭和邦弘氏は打ち明ける。

ヤマハ 音響事業本部 コミュニケーション事業部
商品戦略グループ 主任 千頭和邦弘氏
コロナ禍で生産終了 リモートアクセスVPN需要が急拡大昨今、テレワーク用途を中心にリモートアクセスVPNの需要が増加し、中小規模の企業ネットワークにおいても、収容するセンタールーターのVPN対地数の増強が求められている。しかし、現状は急増する需要にメーカー側の供給が追い付かないケースが少なからずあるようだ。

例えば、ヤマハでは合計100対地までのVPN接続を安定して収容することができるVPNルーター「RTX1210」を2014年から発売し、好評を得ていた。こちらの機種は光回線だけでなく、ISDN回線にも対応するポートを搭載していることが特徴である。

このRTX1210はヤマハの中小企業向けVPNルーターの主力製品だったが、昨今のコロナ禍で注文が殺到。「本来は2024年のISDNのサービス終了までは安定して供給できる予定だったが、コロナ禍という想定外の事象により、当初の目論見より大分早い段階で生産を終了せざるを得なくなってしまった」と千頭和氏は語る。

そこで、「中小規模センタールーターの継続供給を目的とした、新型の代替モデルを出さなくてはならない」という思いからRTX1210の後継機としてRTX1220を開発するに至ったとのことだ。

ヤマハ ギガアクセスVPNルーター RTX1220

基本性能は継続 1年間のお試しクラウド管理機能ライセンス付き新型モデルのRTX1220は基本的な機能をRTX1210から受け継いでおり、IPsec VPNを最大100セッションまで対地可能だ。サービス終了間近のISDNポートを外した分、価格は抑えられており、RTX1210の12万5000円より7000円安い11万8000円となっている。

加えて、ヤマハのクラウド型ネットワーク統合管理サービス「Yamaha Network Organizer(YNO)」に対応し、無償で1年利用可能なライセンスが付いてくる。「コロナ禍でネットワークの管理者もテレワークするようになっている。YNOの利用で自宅や出張先などオフィス以外のテレワーク環境からでも簡単に機器の監視・管理をすることが可能だ」(千頭和氏)。

新型コロナウイルスの脅威は衰えるどころか最近ますます勢いを増している。これを機にリモートからネットワークを管理できる体制に移行するのも手だ。

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