KDDIは2020年9月23日、サムスン電子の協力の下、5GのSA(スタンドアローン)構成において、仮想的にネットワークを分割し、複数の通信を同時にエンド・ツー・エンドで実現するネットワークスライシングの実証実験に成功したと発表した。
実証実験では、O-RAN Allianceで規定されているRIC(RAN Intelligent Controller)を制御機能として、実証実験用の基地局ネットワーク (RAN)に実装。このRANと5G SA対応の通信端末、5GコアおよびMEC(マルチエッジコンピューティング)を連携し、通信が混雑する状況においてもエンド・ツー・エンドで品質保証や低遅延などのネットワークスライスを複数・同時に生成することが確認された。
実証実験のイメージ |
従来、エンド・ツー・エンドで複数の異なる通信品質を保証するネットワークスライスを提供する技術的な手法は確立していなかったが、今回の実証実験により、5Gコアだけでなく、RICを実装したRANも含めたエンド・ツー・エンドでのネットワークスライスを生成し、品質を保証する技術の開発に初めて成功したという。
KDDIは現在、4Gと連携したNSA(ノンスタンドアローン)構成で5Gサービスを展開している。将来的に提供予定の5G SAでは、エンド・ツー・エンドのネットワークスライシングの導入により、製造業界でのセンサー情報の収集や遠隔操作などのファクトリーオートメーション化、交通分野での自動運転や運行管理など、利用目的ごとに異なる用途やニーズに合わせた通信機能を提供することが可能になるとしている。