東京リージョンではまだ展開されていないにも関わらず、非常に多くの国内ユーザーから関心が寄せられている新サービスとして、AWSジャパン 技術統括本部 レディネス&テックソリューション本部 本部長/プリンシパルソリューションアーキテクトの瀧澤与一氏が紹介したのが「AWS Snowcone」だ。エッジコンピューティングおよびデータ転送用のポータブルデバイスであり、データセンターの設置が困難な厳しい環境や、ネットワーク接続が不安定な場所で利用する「AWS Snowファミリー」の中でも最小のデバイスとなる。
AWS Snowconeの概要
重さが約2kg、サイズは手のひらに乗る程度と小型軽量なため、どこでも持ち運べるのが最大の特徴だ。8TBのストレージが使用可能で、バッテリー駆動にも対応する。「床に落としても大丈夫な耐障害性を備え、冷蔵庫内などの過酷な環境でも使える」(瀧澤氏)と、厳しい環境においてエッジコンピューティングを活用する際の有力な選択肢になる。
GPSも搭載している。下写真にあるようにバックパックに入れて持ち運んだり、車両に搭載するなどして低遅延なIoTアプリケーションを利用するといった用途も想定しているという。
AWS Snowconeのユースケース
3秒未満の低遅延ライブ配信向けに最適化
新型コロナウイルス感染対策で“巣ごもり消費”が広がるなか、需要が高まっているビデオストリーミング向けの新サービスもリリースされた。
1つが「Amazon Interactive Video Service(Amazon IVS)」だ。
これはライブストリーミングに特化したサービスで、「3秒未満の低遅延なライブビデオの提供」を可能にするために最適化されている。瀧澤氏によれば、「ライブ配信で1分くらいの遅延が発生することはよくあるが、それでは、例えば視聴者にアンケートを実施してリアクションするようなことは難しい」。Amazon IVSなら遅延を大幅に抑えられるため、「インタラクティブ性のあるライブ配信が可能になる」という。
3秒未満の低遅延ライブ配信を可能にするAmazon IVS
Amazon IVSは、AWSがマネージド型で低遅延なストリーミング配信環境を提供することで実現しており、AWSが提供するSDK(ソフトウェア開発キット)を用いて「Webサイトやアプリケーションに組み込むことも可能だ」(同氏)。
もう1つ、面倒な設定や運用作業なしに、簡単にライブ動画の配信を行えるようにするための「AWS Elemental Link」も用意されている。ライブ動画の処理・配信サービスである「AWS Elemental MediaLive」に対して動画データを送信し、利用可能な帯域幅に適応させる自動ハンズフリーチューニング機能を備えたデバイス(下画像の黄色の箱)を使うサービスだ。
“つなぐだけ”でライブ動画配信の準備が完了するAWS Elemental Link
AWSマネジメントコンソール上で注文すると、事前設定済みの状態でデバイスが届き、電源、動画ソース(3G-SDIまたはHDMIコネクターで接続)、インターネットにつなぐだけで利用できる。先述のAmazon IVSが低遅延ライブ配信に特化しているのに対して、AWS Elemental MediaLiveは、「より詳細な要件を持つ顧客向け」に様々な機能を用意。パーソナライズ広告の挿入や、DRMコンテンツ保護など多様なニーズをサポートしているという。