400G時代へ突入する光伝送システム データセンターではオープン化も進展

100Gトランシーバーが品薄――。今、広帯域化ニーズはそれほどまでに高まっている。データセンターの100G化が加速し、通信キャリア網では400Gが実用化。800G時代の幕も開かれようとしている。

「DCI(データセンター相互接続)の需要増が非常に激しい。実際、100ギガの光トランシーバーは需要過多で、供給が追いついていない。世界で取り合いのような状況になっている」

そう語るのは、光通信関連ソリューションを幅広く取り扱う丸文 システム営業第1本部 営業第2部 情報通信課 課長の村上貴哉氏だ。

昨年からデータセンター内でその傾向が出始めたという。1台で十数本の光トランシーバーを挿せる大容量スイッチ等が増え、トラフィック需要の高まりとともに100ギガビットイーサネット(100GbE)の導入が加速した。さらに、ここに来て隣接データセンター間でいわゆる“リージョン”を構成するDCI用途でも100G化が進んでいる。

急成長する光通信市場背景にあるのは、動画やSNS関連トラフィックの増大だ。企業ITのクラウド移行も大きく影響している。

2019年11月に富士キメラ総研が発表した「2019光通信関連市場総調査」によれば、SNSや動画共有サービス、BtoBでのクラウド普及により世界規模でデータ伝送の高速大容量化が進展し、需要が増加。2018年に10兆57億円だった市場規模が、2025年には56.4%増の15兆6469億円に拡大すると予測している(図表1)。

図表1 光通信関連装置・キーデバイスの世界市場

図表1 光通信関連装置・キーデバイスの世界市場

分野別に見ると、「光伝送装置・関連装置市場」は、通信キャリア大手の継続した設備投資やハイパースケールデータセンターのDCI需要など、データセンターのネットワーク増強によって拡大していると分析。2025年には、2018年比38.7%増の10兆1750億円となる見込みだ。

同レポートが特に「注目市場」として挙げているのが、光トランシーバーである。幹線系やメトロ系等の長距離伝送用に使われる「ライン側光トランシーバー」は2018年比で3.9倍、光伝送装置のインターフェース用、スイッチ/ルーター用に使われる「クライアント側光トランシーバー」に至っては4.6倍の急成長を見込む。いずれも100G、200G、400G以上の光トランシーバーを対象としている。

これらを含む「光コンポーネント」市場は2025年までに、2018年比で2.3倍まで成長する見通しだ。

光トランシーバーの分離が加速本稿ではデータセンター内やDCI用途の中短距離伝送と、通信キャリアの広域網を含む長距離伝送に分けて最新動向を見ていく。いずれも現在は100GbEが主流だが、400GbEの実用化も一部で始まっている。

データセンターネットワークでは数年前より、10/40GbEから100GbEへの移行が本格化した。先述のように、現在はDCIの100G化が加速している。

データセンター内および短距離DCIで注目されるのが、オープン化/ディスアグリゲーションの進展だ。

データセンターで使われるスイッチでは数年前から、光トランシーバーのコモディティ化が進んだ。スイッチメーカーの純正品ではなく、サードパーティ製の非純正トランシーバー(互換モジュール)を使うことで、調達コストの低減のほか様々なメリットが得られる。

1つは、ネットワーク構成の柔軟性を向上させられることだ。純正品にはない規格・性能の光トランシーバーが選択できるようになり、適正なコストで最新技術を取り入れやすくなる。

月刊テレコミュニケーション2020年5月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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