シスコがアプリ性能管理「AppDynamics」の機能拡充デジタル接点を強化してコロナに打ち克つ!

外出自粛の拡大により、企業のビジネス活動は大きく制限されている。新型コロナ感染予防のために物理的な顧客接点が激減するなか、重要性が増しているのが、デジタルによる顧客接点の強化だ。シスコシステムズはこれに貢献するアプリケーション性能管理(APM)「Cisco AppDynamics」の機能拡充等を発表。アプリ開発・運用の側面から、コロナ対策で急務となるデジタル変革を支援する。

シスコシステムズは2020年4月21日、オンライン形式の記者説明会を開催し、アプリケーション性能管理(APM)ソリューション「Cisco AppDynamics」、クラウドベースのインフラストラクチャ管理サービス「Cisco Intersight」の機能拡充を発表した。

APMは、ユーザーの体感品質(UX)等を指標としてアプリケーションのパフォーマンスを評価・監視するソリューションだ。パフォーマンスの劣化を検知して原因を分析、迅速に対処することで、例えばオンラインバンキングやECサイトにおけるUXを維持・向上させることができる。さらには、遠隔診療や医薬品の供給、政府・自治体の情報提供、オンライン授業といった各種サービスの安定提供にも役立つ。


データセンター/クラウドからユーザーまでエンドツーエンドでアプリ性能を可視化する

シスコ 代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト氏によれば、新型コロナウィルスの感染拡大によって企業の事業継続が困難になるなか、このAPMの重要性が増してきているという。記者説明会の冒頭、「事業継続の中核を担うのがビジネスアプリケーションだ。着実に仕事をこなしていくためには、これがきちんと機能する必要がある」と訴えた。

アップダイナミクス事業カントリーマネージャーを務める内田雅彦氏も、人の移動や対面が制限されるなかで、社会的・経済的活動を継続するためのアプリケーションが必須となってきていると指摘した。実際、インターネットバンキングや医療保険の申込み、ローンの借入、オンライン診療、Eコマース、フードデリバリーなど様々なオンラインサービスへのアクセスが殺到している状況だという。そのUXを良好に保つために、APMの需要が高まっている。

Cisco AppDynamicsは2017年にシスコが買収したもので、これまでも着実にユーザー数を伸ばしてきた。2019年度は、対前年比1.5倍に増加。国内の累計ユーザー数は100社以上に達している。


AppDynamicsライセンスの無償提供を開始する

シスコはAPMへのニーズの高まりを受け、このAppDynamicsの無償提供を開始した。2020年7月末まで、最大100エージェントのライセンスを無償で提供する。大規模なECサイトの運営にも対応できるという。

顧客接点のデジタル化が急務に


(左から)シスコシステムズ 代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト氏、
アップダイナミクス事業カントリーマネージャーの内田雅彦氏、
データセンター/バーチャライゼーション事業担当 執行役員の石田浩之氏

新型コロナの感染拡大によって人同士の接触が制限されることで、あらゆる業種において顧客接点を確保することが困難になっている。この状況を改善し、事業を継続するためのデジタル変革(DX)が今後加速するとみられるが、ただし、DXは簡単なことではない。内田氏は留意すべきポイントとして次の3つを指摘した。

1つは、サービス構築・提供の迅速化だ。新サービスを提供するには、新規に開発するアプリケーションと既存システム、外部システムとの連携が生じるため、複雑化が問題となる。その複雑な環境において、障害や性能問題を解消するための仕組みが必要になる。

2つめは、インフラリソースの最適化。ユーザーに対して利便性を提供するためには、アクセスの集中に対応できるスケーラビリティが欠かせない。

3つめは、コンテナやマイクロサービスといった最新技術を活用したアプリケーション開発・運用体制の構築である。これをシンプルな形で実現しなければならない。

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