「アカマイとしては、エッジコンピューティングはごく普通の話。世の中がアカマイに追い付いてきた」。昨今のエッジコンピューティングへの注目の高まりについてアカマイ・テクノロジーズの伊東英輝氏は、2020年1月24日に開催したプレス向け説明会でこう述べた。
世界各地に配備した26万台のエッジサーバーを基盤に、CDNやWebセキュリティなどのサービスを提供している同社。エッジコンピューティングのニーズの高まりは大きなビジネスチャンスだが、そこで力を入れている1つが「ロジック」だという。
ここでいうロジックとは、クラウドなどで行っていた処理をエッジサーバーにオフロードすること。すでに「モバイルデバイスを判定してモバイルサイトに誘導」「プレミア会員か否かを判定してコンテンツを出し分け」「ポットからの買い占め行動を判断して、適切に処置」といったロジックをアカマイは提供しているというが、「こうした汎用的なものだけではなく、お客様のカスタムロジックをやっていくというのが今後の方向性」と伊東氏は説明した。
企業は、アカマイのエッジサーバー上で、独自の処理を実行できるというわけだ。
アカマイがエッジで現在提供している汎用的なロジックの例
無制限のMQTT基盤エッジコンピューティングの必要性が高まっている背景の1つとしては、5G/IoT時代の到来がある。大量に接続してくるIoTデバイスと高速にやりとりしなければならない。
そのためのIoT向け軽量プロトコルとしては、MQTT(Message Queueing Telemetry Transport)がスタンダードとなっているが、アカマイはMQTTに対応したエッジメッセージ基盤「IoT Edge Connect」も提供している。
競合他社と比べると、最大クライアント数や最大メッセージ数/秒などに制限がないことがアカマイの優位性だという。
アカマイと競合他社のMQTTに関する比較
また、MQTTはIoT向けだけに活躍するわけではない。MQTT over WebSocketを使うと、「MQTTは一般的なブラウザやモバイルアプリでも使える」と伊東氏は語り、大量のブラウザに最新ニュースを低負荷でリアルタイム送信できることをデモしてみせた。「例えば放送局の人が『これを使って、もっと面白いことができるのではないか』と言っている。また、航空会社、ホテル業界など、いろんなところからユースケースが出てきている」という。