日本マイクロソフトは2019年8月20日、新年度経営方針説明会を開催した。同社は7月から新しい会計年度に入っている。
説明を行ったのは、8月いっぱいで日本法人の代表取締役社長を退任し、米本社バイスプレジデントに就任することが決まっている平野拓也氏だ。
日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏
まずグローバルでの昨年度の業績を紹介した平野氏。「年間売上高は過去最高で、日本円にすると約13兆円。コマーシャルクラウドの売上高も世界最大となり、我々が一番気になっている競合の約2倍の成長率を実現できた。日本のクラウドの成長率は、Azure、Office 365、Dynamics 365のすべてでグローバルより高くなっている」という。
また、平野氏はこの約4年間の社長在任期間を振り返り、「売上では約2倍の成長」「社員1人当たりの労働時間を約80時間、年間で10日間にあたる就労時間を減らすことができた」などとも語った。
グローバルでの2019会計年度の業績
新年度の3つのフォーカスポイント日本マイクロソフトは、インダストリー、ワークスタイル、ライフスタイルという3つのイノベーションの推進を戦略の柱に据えてきたが、この方針は新年度も継続する。今回新たに打ち出されたのは、次の3つのフォーカスポイントだ。
1つめは、「お客様の業種業態に最適な支援の推進」である。平野氏によれば、社員のエンパワーメントや製品の変革、業務の最適化など、従来別々に捉えられてきたものが、「サイロ化するのではなく、どんどんつながっていくデジタルフィードバックループが今後ますます進んでいく」。
こうしたなか、「インダストリーのビジネスモデルの変革に関する相談をいただけるように変わっている」ところに、マイクロソフトの好調があるわけだが、これを加速させるため、業種特化型のリファレンスアーキテクチャーに力を入れる方針だ。
すでに流通向けに提供しているが、「今年は他業種にも展開していきたい」と平野氏。Azureをベースに、AIやIoT、MRを活用したソリューションのリファレンスを各業種向けに用意し、短期間にプロトタイプ化などを行えるようにする。
さらにデジタルフィードバックループは業種業態の境界を越えて起きていることから、「特に今年はMaaSに注力してクロスインダストリーを進めていきたい」とした。
新会計年度のフォーカスポイント
2つめのフォーカスポイントは、「モダナイゼーションの加速(ITインフラの最新化)」だ。
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」、同じく2025年にサポートサービスが終了するSAP EPPの問題などに触れたうえで、システムのサイロ化やブラックボックス化を防ぎながら、ITインフラのモダナイゼーションに貢献していくとした。
最後の3つめのフォーカスポイントは「クラウド&AI人材の育成」。Chief Learning Officerを新設し、デジタルトランスフォーメーションを推進する人材の育成をさらに積極的に進めていくという。
こうした施策によって、日本マイクロソフトが2020年度の達成を目指しているのが、日本No.1のクラウドベンダーだ。
「4年前に社長に就任した際は、クラウドベンダーの中で5位だった。しかし、前の会計年度が終わった6月の時点では2位になっている。2020年、パートナーと共にお客様に貢献することによって、日本No.1のクラウドベンダーになる」と平野氏は意気込んだ。