ソフトバンクは、東急不動産とともに、竹芝地区のスマートシティ化にも取り組む。
東急不動産では、渋谷と竹芝の2つのエリアを中心に街づくりを進めているところだ。このうち渋谷については、東急電鉄と一緒に、渋谷川の再生やゲリラ豪雨対策、街のバリアフリー化などインフラの再構築も同時に行っている。行政と民間、地元が一体となり、「100年に1度の大改造」の最中だが、インフラの再構築だけでなく、スタートアップやベンチャーの支援も積極的に行っていくという。
一方、竹芝については、オフィスや都立産業貿易センター、ホールなどが入る40階建ての商業棟と、サービスアパートメントおよびシェアハウスが入る18階建ての住居棟を中心に、総面積20万㎡の大型再開発となる。
スマートシティでは、東急不動産がハードやエリアマネジメント、ソフトバンクがテクノロジーとそれぞれの強みを活かすが、「2社だけにとどまるものではなく、多くの企業と一緒にサービス提供に向けた実証、社会実装に向けた取り組みをしていきたい」と東急不動産 副社長の岡田正志氏は語った。
ソフトバンクは自社のテクノロジーを活かし、竹芝エリアのデータを収集・解析し、活用する。「集めたデータを(テナント企業やデベロッパーなど)事業者に渡し、エンドユーザーに提供する仕組みを作りたい」(今井副社長)。
例えば、駅到着前に電車の遅延情報をスマホに通知して別の帰宅方法を提案したり、昼食時に目的のレストランの空席情報をサイネージで表示するといったことが考えられるという。
このようなデータのリアルタイム処理を可能にするのが、7月17日に資本・業務提携を締結した米VANTIQのアプリケーション開発プラットフォームだ。ソフトバンクのIoTプラットフォームとの連携により、情報の「要否」をリアルタイムに判断するので、ユーザーは意識することなく必要なデータだけを自動で受信することができる。従来、こうした仕組みを作るにはプログラマーがコードを手入力していたが、そうした必要もなく、アイコンを選んで並びかえるだけで済むという。
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VANTIQのアプリケーション開発プラットフォームとの連携により、情報のリアルタイム処理が可能になる |
今井副社長は「これらのサービスを通じて、竹芝で過ごす人たちに価値のある情報を提供し、楽しい生活を送れるようにしたい。ソフトバンクはそのインフラ作りに賭けていきたいと考えている」と述べ、講演を締めくくった。