ZETAアライアンスは2018年8月に、テクサ―や凸版印刷、アイティアクセス、QTnet等を中心に設立された。英ZiFiSence社が開発したアンライセンス方式のLPWA規格の「ZETA」の普及推進を目的とし、2019年5月時点で参加企業は50社を超える。2019年4月には「ZETAアライアンス・チャイナ」も設立され、日中企業間の交流とデバイス/ソリューション開発も活発化してきている。
そのZETAアライアンスが、第4回めとなるセミナー「ZETA Alliance DAY」を東京品川で開催した。発表内容の目玉が、NTTドコモの加盟だ。ドコモで農業ICT関連のビジネス開発を担当するライフサポートビジネス推進部 フードテックビジネス担当課長の大関優氏が、同社の取り組みとZETAを選んだ理由について説明した。
第4回ZETA Alliance DAYで講演するNTTドコモ
ライフサポートビジネス推進部 フードテックビジネス担当課長の大関優氏
大関氏は農業ICTの取り組みのなかで、「LPWA技術を比較し、行き着いたのがZETAだった」と語った。
ドコモでは、ドローンやフィールドセンサー等を活用した次世代農業用ソリューションの開拓を進めており、温湿度や土壌データを収集するフィールドセンサーを圃場に設置し、そのデータを収集・分析して活用するための実証試験を行っている。講演では、茨城県つくば市で実施している「EZ水耕」などを紹介。圃場のセンサーからデータを収集するための通信方式として複数のLPWAを比較検討した結果、選んだのがZETAだったという。
つくば市で行われているEZ水耕の取り組みなどを紹介
長年にわたり農業IoTを手がけてきた経験から同氏は、圃場で用いるセンサーと通信方式にかかわる課題を4つ挙げた。1つは長距離通信で、広域かつ分散した圃場でセンシングを行うに当たり、数キロから10キロで超狭帯域通信が行えるLPWAを「農業IoTのキーテクノロジー」とした。
そして、残り3つの課題において、ZETAの優位性を強調した。1つは、センサーおよび通信機器のバッテリー交換に関するものだ。ZETAは、センサーと中継器の低電力性で強みを発揮するという。
農業IoTにおけるLPWAとZETAの強みを解説
ZETAは、他のLPWAと異なる特徴として、基地局とIoTデバイス間で直接通信を行うだけでなく、間に電池駆動式の中継器を介した通信が可能だ。電源確保が不要な中継器を使って、通信距離を容易に延伸できる。また、複数の中継器でメッシュ型ネットワークを構築することで、冗長経路を確保することも可能だ。