次の10年間はエッジの変革が重要にガディヤー氏は、NFVを軸とした新たなネットワークの特徴として、「5Gに向いた設計となっている」点を挙げた。さらに「商用展開においては5Gをどうやって収益化するかが重要」と指摘し、ネットワークの革新によりそれが実現できるとした。
「イノベーティブなサービスがネットワークネイティブで展開されることで、初めて5Gは収益化できる。そのためには無線と有線のネットワークを統合し、ネットワーク機能を仮想化して標準的なサーバー型ハードウェアに載せることが不可欠だ」
さらにガディヤー氏は、5Gの収益化の鍵となる技術として「エッジコンピューティング」を取り上げた。
「5Gで脚光を浴びているロボット制御やビデオアナリティクスなどのアプリケーションでは非常に高速なレスポンスが求められる。これを実現するには、クラウドをクライアントの近くに持っていく必要がある」
エッジコンピューティングが、通信事業者の収益の源泉になると見るのである。
地域データセンターを中心としたエッジコンピューティングのモデル
そのうえでガディヤー氏はエッジコンピューティングにおける通信事業者の強みとして、「ユーザーを収容する局舎などの素晴らしいロケーション資産を持っている」点を挙げた。
これを地域データセンターとして活用することでクラウドをアプリケーションやサービスの近くに展開できるのだ。
続いてガディヤー氏は、「ここ数年はクラウドの変革が重要だった。しかし、これからの10年間を考えたときに重要になるのはエッジの変革だ」と述べ、エッジコンピューティングの実装形態がどう進化していくかを説明した。
現在のエッジコンピューティングは、エッジサーバーなどの設備を企業が自ら拠点に設置するオンプレミス型が主流となっている。パフォーマンス、レイテンシー、セキュリティ、プライバシーなどの要件は満たせるものの、自社のみで設備を利用するためコンピューティングリソースを十分に使い切れないケースが多く、コストが高くなることが課題となる。
そこで、エッジクラウドへの進化が始まる。
地域データセンターにマルチテナント型のエッジクラウドを配置して複数のユーザーで設備を共用。これにより、低遅延を必要とするサービスなどが、現実的なコストで実現可能になるという。
さらに次の段階では、多くの地域データセンターに何百万ものエッジアプリケーションが、状況に応じて振る舞いを変える“ステートフル”な形で実装。「エッジアプリケーション同士のコラボレーションも、将来的には重要になってくるだろう」とガディヤー氏は語った。
インテルが想定しているエッジコンピューティングの進化