シスコシステムズが5月30日、新製品に関する記者説明会を開催した。新製品の発表に先立ち、執行役員 エンタープライズ ネットワーキング事業担当の眞﨑浩一氏は、「これからのキャンパスネットワークでは、ワイヤレス主導、クラウド活用に対応、データ最適化の3つが重要になる。今回の新製品はそれらを強化するものだ」と説明した。
シスコシステムズ 執行役員 エンタープライズ ネットワーキング事業担当 眞﨑浩一氏
新製品として発表されたのはWi-Fiの新規格「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」に対応する無線LANアクセスポイント(AP)とコアスイッチだ。
発表された新製品はWi-Fi 6対応APとコアスイッチ
「Cisco Catalyst シリーズアクセスポイント」と「Cisco Meraki アクセスポイント」は、Wi-Fi 6対応のAP。このうち、Cisco Catalyst シリーズ アクセスポイントは中小規模事業所向けの「Cisco Catalyst 9115/9117」と、ミッションクリティカルな事業所向けの「Cisco Catalyst 9120」の合計3機種となる。
「Cisco Catalyst 9100シリーズ アクセスポイント」の概要
デザインにこだわり、スポーツカー「フェラーリ」などのデザインを担当する企業に設計を依頼し、従来機に比べて軽量でコンパクトにした。例えばCisco Catalyst 9115は、従来機から重さが38%軽量化、体積が30%縮小している。
デザインによって大幅に薄くなった印象を与える「Cisco Catalyst 9100シリーズ アクセスポイント」
エンタープライズ ネットワーキング事業担当 シニアプロダクトマネージャーの前原朋実氏は、「従来機に比べて(ボディの)厚さが1cm弱薄くなっているが、カーブのかかったデザインによってそれ以上に薄くなった印象を見る人に与える」と説明した。
Cisco Catalyst 9100シリーズ アクセスポイント
分析やセキュリティに大きく貢献する「Cisco RF ASIC」Cisco Catalyst 9120は、シスコ独自の無線周波数特定用途向け集積回路「Cisco RF ASIC」と、BLE(Bluetooth Low Energy)やZigBeeといった“ほかの無線通信(サードラジオ)”のアンテナを搭載。Cisco RF ASICに通信機能以外の処理を集約することで、APのソフトウェアにかかる負荷を下げることができるという。また、Cisco RF ASICを最大限活用することで高度な分析や不正検知などのセキュリティ面の情報収集なども可能とのことだ。
「Cisco Catalyst 9120アクセスポイント」に搭載されるシスコ独自の「Cisco RF ASIC」
Cisco RF ASICが対応を予定する「RF シグネチャ キャプチャ」は、レイヤ1(電波)の波形の見える化技術。「例えば、CPUや入出力インターフェースとコネクタが付いただけの簡素なコンピュータ『ラズベリーパイ』がスマートデバイスのふりをしてAPに接続しに来た場合も電波の波形を見ることで検知できる」と前原氏は話した。
シスコシステムズ エンタープライズ ネットワーキング事業担当
シニアプロダクトマネージャーの前原朋実氏
同じく、Cisco RF ASICが対応を予定する機能に「Zero-Wait DFS」がある。気象レーダーの周波数を感知して干渉しないようにするDFS(Dynamic Frequency Selection)では、気象レーダーを感知すると、チャネルの切り替えのために1分ほど通信を待たなければならない仕様になっている。だが、Zero-Wait DFSではサードラジオ側で常時モニタリングすることで1分ほどの待ち時間をサードラジオ側に負担させることができるため、通常通り待たずに通信を行える。
なお、Cisco Catalyst シリーズアクセスポイントはすべて、Cisco DNAの中心的な役割を担うネットワークコントローラー/分析プラットフォームである「Cisco DNA Center」と連携できる。