2019年4月時点で電波エリアの人口カバー率95%を達成したSigfox。日本全国の様々な場所で使える環境が整ったことで、そのユースケースも広がりを見せている。
特に活発なのが、物流における輸送物のトラッキング、高齢者や子供の見守りといった位置情報を活用したソリューションだ。
こうしたユースケースをさらに広げるため、Sigfoxはモノや人の位置を把握する測位技術を強化している。Sigfox基地局で取得する情報を使って測位する「Atlas Native」に加えて、無線LAN電波を利用するWi-Fi測位「Atlas Wi-Fi」、10m程度の細かな位置把握が可能なビーコン測位「Bubble」だ。
KCCSブースで展示しているSigfoxビーコン
KCCSブースでは、最新の測位技術である「Bubble」に対応したビーコンデバイスも展示していた(上写真)。Sigfoxチップのみでデバイスの位置を特定できるのが利点で、主に物流向けでの展開を予定しているという。
また、もう1つ注目されるのが、Sigfoxが開発したグローバルローミング技術「Sigfox Monarch(モナーク)」だ。国・地域によって異なる周波数帯、接続関連のレギュレーションを自動判別し、複数の国を移動するモノをシームレスに追跡できるようにする技術である。
これにより、たとえば国際物流の場面で、国ごとに異なる通信サービスを契約する必要なく、1つのSigfox契約でIoTデバイスを追跡することが可能だ。
KCCSブースではこうした新技術に対応したデバイスを実際に目にしながら、その使い方や技術的特徴について深く知ることができる。
パートナーも多種多様なデバイス、ソリューションを展示
同ブースでは、Sigfox対応デバイスや関連ソリューションを開発・提供するパートナーの製品群も合わせて見ることができる。IoT関連のプロジェクトを推進する人にとって、まさに必見と言えるだろう。
まず、Sigfox対応デバイスから紹介しよう。
Sigfoxデバイス「ミテテル」シリーズを開発・販売するアイ・サイナップは、Sigfox基地局測位に対応した防犯ブザーや、GPS内蔵の名刺サイズのミテテル トラッカー、鳥獣被害対策用のわなを監視するミテテル トラップ等を展示している。
アイ・サイナップが開発した鉄道沿線監視用IoT装置
さらなる用途開拓も進めており、新たに開発した鉄道沿線監視用のIoTデバイス(上写真)もブース内で紹介している。積雪量や傾斜、水没等を遠隔から監視するもので、今年6月から某鉄道会社と寒冷地でのテストを実施するという。
なお、同社は、ミテテルシリーズから取得した情報をMicrosoft Azure上で可視化するIoTサービス「ミテテルクラウド」も2019年5月29日から開始した。
構造物の変形・ひずみを検知するセンサーを開発するCACHは、Sigfoxでセンサーデータを収集して遠隔からモニタリングするシステム「ST-COMM」を展示している。電池稼働のため設置場所の制約が少なく、様々な構造物に対応できるのが特徴だ。
コードの先についたテープ状のセンサーで構造物のひずみを検知する
デバイスから、データを保存するクラウド、ひずみデータを可視化するモニタリングシステムまで一貫して提供しており、建設会社や研究機関等で活用されているという。