セキュリティ人材不足時代の次世代FW/UTM――「自動化」で迅速に脅威を防御

大企業のみならず中小企業にも普及している次世代FW/UTM。最近はエンドポイントやクラウドとの連携が進んでいるほか、セキュリティ人材が不足するなか、「自動化」もトレンドになってきている。

今年から来年にかけて、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックといった国際的なイベントが日本で開催される。重要インフラを取り扱う企業などをターゲットにしたサイバー攻撃が多発することは確実だ。

2018年5月に施行されたEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)では、EEA(欧州経済領域)域内31カ国に所在するすべての個人データの厳格な保護が義務付けられた。GDPRは、EEA域内の個人情報を処理する企業であれば域外であっても適用され、違反した場合には最高で世界売上高の4%または2000万ユーロ(約26億円)のうち高い方の制裁金が科せられる。それだけに、日本企業も無関係ではいられない。

こうした状況から、セキュリティ対策を強化する企業が増えている。数あるセキュリティ製品の中でも広く普及しているのがファイアウォール(FW)、IDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)、Webフィルタリングなど様々なセキュリティ機能を1台に集約したUTM(統合脅威管理)、UTMにアプリケーションコントロール機能を追加した次世代FWだ。

中小企業で進む次世代FWへの移行近年、次世代FW/UTMが企業の支持を集めている理由の1つに、中小企業のリプレイス需要がある。

「従来のFWと同水準の価格帯で付加価値の高い次世代FWが購入できるようになったことで、中小企業のリプレイスが進んでいる」とIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は指摘する。

中小企業を対象にした次世代FWも登場している。中国最大手ソフトウェアベンダーNeusoftの「NISG3000」シリーズだ。

NISG3000は、同社が日本企業向けに開発した製品。セキュリティ機能に加えて、無線LANアクセスポイントとしての機能も備える(図表1)。中小企業を対象にしているとはいえ、エンタープライズ向け製品に引けを取らない高性能が売りだ。

図表1 「NISG3000」の概要
図表1 「NISG3000」の概要

例えばFWのスループットは2.7Gbpsで、複数の機能を同時に動かした場合でも200Mbpsと処理能力に優れ、安定した処理速度を保つことができる。国内のディストリビューターであるケーエムケーワールドでセキュリティソリューション事業部部長代理を務める白子隆一氏は「同じクラスの次世代FWの中では、費用対効果が非常に高い」と述べる。

NISG3000が国内市場に参入したのは2015年と最後発にあたる。当初は苦戦を強いられたが、2017年度から18年度にかけて販売台数が2倍以上に伸びるなど、右肩上がりで成長を続けているという。

月刊テレコミュニケーション2019年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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