リコーとシスコが提携、クラウドソリューションで2020年に売上100億目指す

複合機メーカーのリコーとシスコが2019年2月26日、戦略的提携を発表した。リコーのクラウドソリューション、広い顧客基盤とシスコの技術力が組み合わさる。両社は提携の第一弾として、2019年9月から3つのクラウドソリューションの提供を予定している。

セキュリティは3つのレイヤーで守る

リコー 執行役員 プロットフォーム統括本部長の野水泰之氏はマルチクラウドの時代の今、セキュリティは3つのレイヤーで考える必要があると話す。すなわちクラウド、ネットワーク、デバイスの3か所である。

その上で、野水氏は今回の提携でターゲットとする顧客層について「1つは社内システムでセキュリティに従事する人員が不足している企業、もう1つはIT管理者が不在でセキュリティ対策の仕方が分からない企業だ」と説明した。

今後はこれらの顧客に、リコーが20191月に発売した複合機「RICOH IM Cシリーズ」とシスコのセキュリティ対策製品などを組み合わせ、3つのレイヤーをそれぞれ守るソリューションを展開する。

セキュリティは3つのレイヤーで考える

1つめが「安心クラウド保管ソリューション」。例えば、クラウド内のドキュメントを、マイナンバーの12桁の数字やパスワード、コンフィデンシャルといった文字などから自動で機密レベルを判定。保存フォルダの共有範囲などを自動で制限する。このようにクラウドにある文書ファイルなどをセキュアに管理できるソリューションだ。

安心クラウド保管ソリューションの概要

2つめの「簡単ネットワーク設定ソリューション」は、シスコのMeraki Cloudから無線LANアクセスポイントや次世代ファイヤウォールなどのネットワーク機器をクラウドから一元管理するソリューションだ。

さらに、今回の提携ではMerakiの管理ダッシュボードから、リコーの複合機の危機管理情報、稼働状況、設定状況も確認できるようになる。
Merakiは拠点に設置するCPE(宅内通信装置)をインターネットにつなぐだけで、これらの機器の設定を自動的行うゼロタッチプロビジョニング(ZTP)の機能も搭載している。テンプレートも用意されており、IT管理者がいないような小規模の事業所でも、セキュリティ対策設定のミスの防止、ネットワーク構築負荷の低減などが期待できる。
3つめの「安全デバイス接続ソリューション」は、ネットワークに接続されたデバイスを自動で管理する。
今や企業ネットワークにはPCやタブレット、スマートフォンなど様々なデバイスが接続している状態だ。シスコの「Identity Services Engine(ISE)」がネットワークに接続されたデバイスを自動で検知。不正なデバイスのアクセスを遮断する。さらに、ISEとリコーの複合機上で稼働するデバイス管理システム「RICOH Streamline NX」が連携することで、正規デバイスの社内システムへの登録作業が自動で行われ、作業時間を削減できるという。
安全デバイス接続ソリューションの概要

これらのソリューションは20194月から試験導入を開始し、9月から本格的に販売を開始する。料金モデルはサブスクリプション型(月額制)だ。野水氏は「月額単位の料金だけで最新のアップデートが利用でき、強固なセキュリティを維持できる」と解説した。

また、野水氏は「セキュリティリスクは多岐にわたるし、IT機器の自動設定などの潜在ニーズはまだあるはずだ。シスコとマーケティングチームを発足し、さらに共同ソリューションを開発していく」と話し、上記の3ソリューション以外にも展開していく考えを示した。

今回の提携についてシスコシステムズ 代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト氏は「リコーはクラウドソリューションをすでに多く展開しており、魅力的だった。また、シスコの持っていないSMB(中堅・中小企業)の顧客網が魅力的だ」と語った。

シスコシステムズ 代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト氏

リコー 執行役員 プロットフォーム統括本部長の野水泰之氏

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