注目の新興LPWAの勝機(前編)既存LPWAの弱点をマルチホップで突く「ZETA」とは?

Sigfox、LoRaWANに、LTE-M、NB-IoTと、LPWAの選択肢は大きく広がった。しかし、まだ終わりではない。大きなポテンシャルを持つ2つの新興LPWA規格「ZETA」と「ELTRES」を紹介しよう。前編は、マルチホップで既存LPWAの弱点を突く「ZETA」に迫る。

ZETAは、2013年に英国ケンブリッジで設立されたZiFiSense(CEO:李卓群氏)が独自開発したLPWA規格だ。日本国内では920MHz帯を用いる。

超狭帯域(UNB:Ultra -Narrow Band)による多チャンネル通信が可能で、双方向通信に対応する。100bps~50kbpsのデータ転送が可能だ。

通信距離も数kmから10km程度と、他のLPWAと遜色ない性能を持つ。ZiFiSenseの日本総代理店であるテクサーの代表取締役社長を務める朱強氏によれば「見通しが良ければ20~30kmも可能」という。

ZETAの最大の特徴はマルチホップこうしたスペック以上にZETAを特徴づけているのが、マルチホップ通信だ。基地局(AP)よりも格段に安価で、かつ電池駆動の中継機(Mote)を使って容易に通信エリアを拡大できる(図表1)。なお、APの希望小売価格は23万円、Moteは1万8000円だ。

図表1 ZETAのネットワーク構成
図表1 ZETAのネットワーク構成

Moteを活用することによる利点は2つある。1つは、障害物が多い場所や地下、トンネル等へ、低コストに通信エリアを拡張できることだ。

もう1つが、冗長経路の確保である。APとデバイスが直接通信するかたちでネットワークを設計しつつ、間に障害物ができたり、悪天候によって電波が届かなくなった場合等に備えて、Moteで迂回路を作れる。

ZETAのAPは通信エリア内にMoteがあっても、「できるだけデバイスとの直接通信を試み、どうしても電波が届かないときだけ冗長パスとしてMoteを使う」(朱氏)。これにより、ネットワーク構造をシンプルに保ち、かつMoteの電池消耗を避けながら安定した通信を実現する。

なお、APにSIMを挿入すれば3G/LTEをバックホール回線に使用できるほか、イーサネットや光回線も利用可能だ。また、ZiFiSenseはデバイス/ユーザー管理、データの可視化、セキュリティ機能等を備えた「ZETA Server」も提供しており、ユーザーはクラウド型で利用したり、ソフトを購入して自ら運用できる。

月刊テレコミュニケーション2018年11月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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