Big Switch Networksといえば、SDNコントローラやホワイトボックススイッチ(ベアメタルスイッチ)用OSのベンダーという印象を持つ人も多いだろう。だが、現在は提供する製品も戦略も様変わりしている。
同社の製品は大きく3つ(図表1)。1つは、Open Network Linuxをベースにしたホワイトボックススイッチ用OSの「Switch Light OS」。もう1つが、ネットワーク制御の自動化機能によって、いわゆるソフトウェアデファインドデータセンターを実現するための製品「Big Cloud Fabric(BCF)」だ。
3つめはトラフィックモニタリングを行う「Big Monitoring Fabric(BMF)」。このBMFには用途の異なる2タイプがあり、ネットワークとアプリケーションの可視化・分析を行う「BMF Out of band」、外部との通信を監視してセキュリティのサービスチェイニングを行う「BMF Inline」が提供されている。
Big Switchはこれらソフトウェア製品によって、通信事業者/サービスプロバイダや大手エンタープライズを開拓。2014年の日本法人設立後、国内でも通信事業者や金融大手を中心にユーザーを増やしてきた。
図表1 Big Switch Networks 製品ポートフォリオ
キャリア/大手から中堅クラスへその同社が7月、新たな製品ポートフォリオを発表した。
上記の製品はすべてオンプレミス環境向けだったが、BCFのネットワーク制御機能やBMFのモニタリング機能を、AWSやAzure等のパブリッククラウドでも利用できる新製品の提供を始める。さらに、オンプレミス環境とクラウドの統合運用を可能にすることで、「オンプレミス環境もパブリッククラウドも一貫性のある環境を実現する」と最高製品・技術責任者(Chief Product&Technology Officer)のプラシャント・ガンジー氏は話す。
ターゲットはハイブリッドクラウドを志向する大手・中堅のエンタープライズだ。ユーザー企業のニーズの変化に対応し、顧客層を中堅クラスへと広げるのが狙いである。
Big Switch Networks 最高製品・技術責任者(Chief Product&Technology Officer)の
プラシャント・ガンジー氏(右)と、カントリーマネージャーの田島弘介氏
Big Switchのビジネスはワールドワイド/日本国内ともに堅調で、カントリーマネージャーの田島弘介氏によれば、「国内ではほぼすべての大手通信キャリアに採用されている。さらには金融機関で約10社、そのほか製造や大学、データセンター事業者など30社以上で商用運用されている」。特に通信事業者では「通信状況をモニタリングする基盤としてBMFを採用するケースが多い」。
その一方で、昨年から中堅クラスの企業でも同社製品の採用が増え始めたという。「SDNの裾野が広がったことで潮目が変わった。昨年から地方自治体や中堅規模の案件が増えており、いわゆるキャンパスLANでも我々の製品が選定の対象になってきた」。この波を捉え、ハイブリッドクラウド化を支援する製品の拡充によりターゲット市場を広げようというのである。