NTT澤田社長が就任会見――「グローバル事業の競争力を強化」

NTT持株の代表取締役社長に澤田純氏が就任した。NTTグループの成長戦略の基軸であるグローバル事業については鵜浦博夫前社長のB2B2X路線を踏襲し、「パートナー企業と一緒に事業領域を広げていくお手伝いをしたい」と語った。一方、成長が頭打ちの状態にある国内事業は、プロセスの効率化など内部改革を進める方針だ。

NTTの澤田純社長は6月26日、就任記者会見を行った。

NTT代表取締役社長に就任した澤田純氏

今後のNTTグループの経営方針について、グローバル事業の競争力強化と国内事業のデジタルトランスフォーメーションの推進を軸に、「お客様や株主、地域など周囲にとって価値のある存在(Your Value Partner)を目指したい」と説明した。

グローバル事業についてはAT&Tのタイム・ワーナー買収計画を引き合いに、「そうした垂直統合型モデルというより、パートナーと一緒に事業領域を広げていくお手伝いをしたい」と述べ、鵜浦博夫前社長のB2B2X路線を引き続き踏襲しつつ、新たな展開を加える方針を示した。

また「競争力を高めるには、お客様に提供できる付加価値を明らかにしなければならない。そのためにはプロセスを変える必要がある」と語った。

グローバル事業では、IBMやアクセンチュア、アマゾンなどライバルがひしめいている。これに対し、澤田社長は「NTTは包括的に技術を持っており、そうした企業は他にはない」と自信をのぞかせた。

一方、国内では固定電話に代表される伝統的な通信事業は頭打ちの状況にあると指摘。「新しい付加価値を作る努力をしなければならない。プロセスを効率化し、コストパフォーマンスに優れたサービスを出すため内部改革を進めたい」と国内でもプロセス改革を重視する姿勢を明らかにした。

これらの課題に取り組むため、今月から社内でワーキンググループを立ち上げている。今後は各事業会社も加わり、今年11月に発表する新たな中期経営戦略に向けて検討を進める。

中期経営戦略では①顧客のデジタルトランスフォーメーションのサポート、②自らのデジタルトランスフォーメーションの推進、③人・技術・資産の活用、④ESG経営の推進の4つが骨子となる予定。

このうち環境・社会・企業統治の3分野に配慮するESG経営は、①エネルギー効率化の推進、②グループ社用車のeモビリティ化の2本柱で構成される。2025年に通信事業のエネルギー効率2倍、消費電力の10%削減、一般車両の50%をEV化など具体的な数値目標を掲げ、エネルギーコストの抜本的な削減を目指すとしている。

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