超高速・大容量のプランから、低速ですが通信の途切れがなく応答も早いプランまで豊富に取り揃えています。ご要望があれば、通信速度はほどほどで信頼性はとにかく高くなど、カスタマイズも承ります――。
URLLCの威力が存分に発揮できる5GCが実現した202X年には、モバイルネットワークの売り方、選び方はそんなふうに変わっているかもしれない。現在、専用線やIP-VPN等の固定系WANサービスは、性能や品質が異なる多様なメニューの中からユーザーが用途・目的に合ったものを選んで利用している。5Gの時代には、モバイルネットワークもそれと同じような利用形態になる可能性がある。
イメージは専用線・VPNサービス現状のモバイルネットワークは通信速度と通信量(パケット数)が異なる複数のプランが用意されているが、URLLCが商用化されれば、そこに「遅延時間や冗長性、可用性といったSLAが加わってくる」とエリクソンの藤岡氏は予想する。企業の選択肢は今とは比べ物にならないほど増えるはずだ。
そうした多彩なメニューは、ネットワークスライシング技術によって実現される。無線/有線ネットワークと、その途中に置かれるエッジコンピューティング等のリソースをすべて仮想化し、要件に応じて構成を組み合わせることで、ユーザーが求める性能や品質に最適化した仮想的なネットワーク(スライス)を提供する技術だ。「超高信頼・低遅延サービス」も、このスライスの1つとして提供される。
スライスを生成する方法については、“クラウド的”な手法が検討されている。リソースを管理・制御するオーケストレータにサービス要件を入力すると「それに応じたスライスがテーラーメイドでできる世界を目指している」(藤岡氏)。このオーケストレータは「ネットワーク ファンクション エクスポージャ」と名付けられ、5GCの標準化の中で議論が進んでいる。