2017年に省電力かつ広範囲をカバーできるIoT向け無線通信Sigfoxサービスを開始したKCCS。開業1年の2018年3月時点で加入数が100万回線を超えた同社のブースには、パートナーが開発・提供するSigfox対応デバイスの数々が展示されている。それらのデバイスから収集するデータを可視化するためのIoTプラットフォームや可視化ソフトも合わせて展示されており、Sigfoxの具体的なユースケースを体感できる。
Sigfoxを使った傾斜監視用のセンサーボックス「OKIPPA104」(左)。
開発したマイクロテクノロジーは、データ可視化機能等を有するIoTプラットフォームも提供する
すでに商用化されているものとして、西松建設が5月に提供を開始した傾斜監視システムがある。インフラ施設の斜面部における土砂災害を監視するもので、上写真のセンサーボックス「OKIPPA104」を設置するだけという簡便さがウリだ。
OKIPPA104は、リチウムイオン電池で2年間稼働(1時間に1回送信の場合)するため、電源工事も不要。もちろん通信配線も必要なく、計測データはPCやスマートフォン等からクラウドを介して常時確認できる。
開発を担当したマイクロテクノロジーは、デバイス管理やアプリケーション開発・実行基盤を備えるIoTプラットフォーム「CUMoNoSU」も用意。IoTサービスを開発・提供するためのソリューションを丸ごと提供する。同社によれば、従来の無線通信技術を使った傾斜監視システムと比べて、「設置・運用にかかるコストを大幅に削減できた」という。
ネスレ日本「キットカット たのめるくん」(右)に使われている通信装置とボタンデバイス
ネスレ日本が2017年末から開始したオフィス向けサービス「キットカット たのめるくん」にも、Sigfoxが使われている。KCCSモバイルエンジニアリング(KCME)とACCESSが開発した自動発注システムを用いており、ボタンデバイス(上写真)を内蔵するキットカットの保管装置をオフィスに設置、在庫がなくなりかけると、ボタンを押すだけでSigfoxネットワークを介して自動発注される。
KCMEが提供するIoTプラットフォーム「MIOTINC」
KCMEはこうしたデバイス開発・提供に加えて、IoTプラットフォーム「MIOTINC」も開始した。「Sigfoxだけでなく、LoRaやNB-IoTなどの他のLPWA規格のデバイスも収容できる」(説明員)のが特徴だ。データの可視化や、地図上への位置情報のプロットなどの機能を備えており、手軽に使い始められるのが売りだという。