「使えない」は早計「近視眼的に『何ができるのか』を検討しているだけでは、そのパワーを理解できない。企業はすぐにも準備を始めるべきだ」と、音声AIの重要性を強調するのは、ガートナー ジャパンのリサーチ&アドバイザリ部門でバイスプレジデント兼最上級アナリストを務める亦賀忠明氏だ。企業向けサービスやデバイスにおいても音声インターフェースへの対応が進むと予想する。
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ
バイスプレジデント 兼 最上級アナリストの亦賀忠明氏
アマゾンやグーグル、マイクロソフト等は音声認識機能をクラウドサービスとして外部に提供している。Webサービスやデバイスを開発する企業は、それを自社の製品/サービスに組み込むことが可能だ。企業向けサービスももちろん例外ではない。
「世界中の優秀な開発者を呼び込むエコシステムができている。クラウド上にはAI/コグニティブ関連の“部品”が豊富にあり、それらの組み合わせによって様々なサービスが出てくる」と亦賀氏。「音声で使えないサービスはダメだね」となることもそう遠い先ではないという。
野村総合研究所 IT基盤イノベーション本部 ビジネスIT推進部 グループマネージャー/上級研究員の城田真琴氏も、ビジネス活用の進展を予測する。3月に開催した記者説明会で、今後5年の重要技術トレンドの1つに音声インターフェースの普及を挙げ、「企業はVUI(Voice User Interface)への準備が必要だ」と話した。
野村総合研究所 IT基盤イノベーション本部 ビジネスIT推進部
グループマネージャー/上級研究員の城田真琴氏
城田氏は実用例も紹介した。
1つは、米Volaraの例だ。ホテルの客室に設置したAmazon Echoを使って宿泊客の要望に応えるコンシェルジュサービスを提供しており、複数のホテルに導入されている。
もう1つは国内事例だ。
ダイハツ工業が、自動車の定期点検・整備時に整備士の音声を認識して点検結果を自動入力するシステムを正式導入した。作業員がウェアラブルマイクを装着して点検結果を発話するだけで内容を自動的に記録し、報告書類も作成する。2月に新装開店する高知ダイハツ販売の南国店に導入。今後、全国に展開する計画だ。