「今までヘトヘトになっていた業務をRPAやAIで自動化することで働き方が変わり、多くの社員が非常に前向きに業務に取り組むようになってきた」。こう語るのは、NECマネジメントパートナー(以下、NMP)の米増豊氏だ。
NECマネジメントパートナー BPOサービス事業開発本部
シニアエキスパート 米増豊氏
NECグループのNMPは2014年4月、部門の壁を越えてバックオフィス業務を効率化するために設立された会社だ。業務・IT・人の三位一体で業務プロセスにイノベーションを起こそうとしており、バックオフィス業務のコスト削減を最大のミッションにしている。設立から約4年、改革の進展にともない社員の働き方も変化しており、冒頭のコメントにある通り、RPAやAIを活用した働き方により社員のやる気まで向上しているという。
現在、約5000人の社員がいるNMPが担っているバックオフィス業務は、経理/財務、人事/総務、営業業務、ビジネスユニットの経営者をサポートする経営管理、資材調達、海外出張などのビジネストラベル手配、研修サービスなど幅広く膨大である。今後同社はこの業務改革の成果をNECグループの顧客にも外販していく予定だ。
2016年夏からRPAに注目NMPが、業務効率化の手段の1つとして、RPA(Robotic Process Automation)に注目し始めたのは2016年夏頃のこと。RPAとは、ソフトウェアロボットを活用して業務を自動化する取り組みを表す言葉で、主にホワイトカラーのバックオフィス業務をロボットが代行する。
RPA技術は今も進化を続けているが、現時点のRPAに適しているのは、「業務内の人的な単純作業」だ(図表1)。具体的には、特定システムから大量データを定期的に収集する作業、大量データの単純な比較・突合作業、定型フォーマットをベースにしたデータの転記作業、基準が明確であいまいな判断が不要な振分作業など。
図表1 RPAに適している作業
バックオフィス業務を効率化する手段はRPAだけではない。エクセルだけで完結する集計作業であればマクロを使えばいいし、業務プロセスそのものを見直して基幹システムを改修する大掛かりな方法もある。それと比較するとRPAは、基幹システムと連携するが、システム改修までは不要な手段という位置づけになる。
米増氏は、RPAの取り組み状況について、「2017年度初頭には10業務37体だったロボットが今では30業務100体まで増えた。ロボットの数自体は多いかもしれないが、それでもロボットが行っている作業はNMPの業務のごく一部であり、まだまだ少ないと考えている」と説明する(図表2)。
図表2 NECマネジメントパートナーのRPA活用状況