2020年のサービス開始に向けて盛り上がる5G(第5世代移動通信システム)に目を奪われがちだが、今バリバリの現役である4G(LTE/LTE-Advanced)の進化にも注目だ。
4Gの高速大容量化は、これからも着実に進むことを忘れてはならない。
例えばNTTドコモの4Gサービス「PREMIUM 4G」は、2017年3月に下り最大512Mbps、そして同年9月には最大788Mbpsに高速化した。同社はこれからもPREMIUM 4Gを強化していく方針であり、「2018年度以降には1Gbpsを超えるサービスを提供する予定。新技術の導入を計画している」と、R&D戦略部 技術戦略担当担当部長の小畑和則氏は明かす。
4Gと5Gのギャップを埋める
5Gの開始が間近に迫っていながら、4Gの進化にも力を入れているのには理由がある。5Gは、現行の4Gとともに利用される前提となっており、5Gの開始後も当面、4Gが“大黒柱”を担い続けるからだ。
モバイルキャリア各社は、5Gの開始と同時に、日本全国で一斉に5Gを展開するわけではない。5Gの需要があるところから、5Gサービスを開始していく計画だ。
また、5G基地局があっても、そのエリアカバレッジは必ずしも広くない。5G用に割り当てられる周波数帯は、4Gよりも高い周波数帯であり、遠くまで電波が届きにくい性質があるからだ。面的というより、スポット的なエリアカバレッジとなる。
このため、2020年に5Gのサービスが始まったとしても、当分は4G基地局と5G基地局が連携する構成になる。当然、スマートフォンなどの端末も、5Gと4Gの両方への対応が基本となる。
「5Gが使えるところでは5Gで通信しながら、エリアを外れたら4Gで通信する。お客様から見れば、5G端末を購入しても、基本的に現在の4Gと変わらない広いエリアで通信できる」と、ドコモ ネットワーク部 技術企画部門 担当部長の宮下真一氏は説明する。
そこで、4Gもさらに進化させていく必然性が出てくる。「5Gのスポットを離れても、ある程度は同等のサービスを提供できるよう、4Gもしっかりと高速化していく。5Gがターゲットとしているスペックと今の4Gとの間にはギャップがあるが、4Gのスペックも5Gに近づけるべく、着実に進化させていきたい」と宮下氏は語る。