150MHz帯のLoRa変調で登山者の位置情報管理――4つの基地局で北アルプス一帯をカバー

無線機器の設計製造をするサーキットデザインは、携帯電話圏外においても登山者の位置をリアルタイムに確認できるシステム「TozanMap」を開発したと発表した。

TozanMapのシステムでは、登山者が60gほどのGPS付きの登山者端末を携帯し、山小屋に設置した基地局と中継局を通じてGPS位置情報をクラウドにアップする。その登山者の位置情報は、スマートフォンやPCなどのブラウザでリアルタイムに確認できる。

同システムで利用する無線は、150MHz帯を使用するLoRa変調の無線だ。急峻な山岳地形や生い茂る樹林帯においても電波伝搬特性がよく、従来の無線と比較しても省電力で広範囲に届くため、電源が取れる山小屋数カ所に設置することで北アルプスのほとんどのエリアをカバーできるという。

「GPS付き登山者端末」をリュックに付けている登山者

TozanMapの画面イメージ

サーキットデザインは同システムの開発にあたり、北アルプスブロードバンドネットワークの協力のもと、2017年夏に北アルプス一帯で実証実験を行った。実験では槍ヶ岳山荘、蝶ヶ岳ヒュッテ、西穂山荘、サーキットデザインの4カ所に基地局と中継局を設置し、登山関係者が登山者端末を携帯し、北アルプス一帯を登山した。

実験の結果、最大到達距離は約40km、北は唐松岳、南は乗鞍岳まで長距離通信を達成。登山者のリアルタイム位置情報をブラウザに表示し、見守れることを確認したという。

今後は、山岳避難救助の効率化に加え、登山ガイド等の付加価値向上、林業従事者などを対象に携帯電話不感地帯での行動管理などの展開に取り組む予定だ。

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