
モースマイクロ CTO 共同創業者 アンドリュー・テリー氏(中央)、VP兼カントリーマネージャージャパン 大石義和氏(右)、FAEマネージャー兼シニアFAE 家村広継氏(左)
――モースマイクロについて紹介してください。
テリー CEOを務めるマイケル・デ・ニルと私の2人が2016年に共同で創業したWi-Fi HaLow(IEEE 802.11ah)に特化したチップベンダーです。本社はオーストラリアのシドニーにあります。米国、英国、台湾、中国、インド、日本にもオフィスがあり、従業員数はグローバルで200名を超えています。重要なマーケットである日本のチームも拡大しており、現在4名体制で、現地顧客サポートを強化しています。
――設立当初からWi-Fi HaLowにフォーカスしていたのですか。
テリー その通りです。その頃はまだWi-Fi HaLowという言葉はなく、ロングレンジWi-FiやSub-GHz Wi-Fiなどと呼ばれていました。
私とマイケルはモースマイクロを起業する前、ブロードコムでiPhone向けのWi-Fiチップを設計するエンジニアでした。当時、煙探知機やカメラなどのIoTデバイスが採用していたWi-Fiチップは、IoT向けに設計されたものではなく、スマートフォン向けのチップを転用していました。
しかし、今後はやはりIoT向けに特化して設計されたロングレンジで低消費電力のチップが必要だと考え、モースマイクロを2人で立ち上げることにしたのです。
通常のWi-Fiはスループットこそ高速ですが、距離は頑張って50~60mしか飛びなく、数十メートル程度で通信品質が大きく低下します、LoRaであれば長距離通信が可能ですが、今度はスループットが低速です。
従来の「IoT 1.0」は、データ量が小さく、温度や湿度などのセンシングデータを1時間ごとに送信すればいい、といったユースケースが中心でした。しかし、「IoT 2.0」の時代を迎えると、ビデオや音声を送ったり、ファームウェアをアップデートしたりと、様々なユースケースが出てきます。LoRaなどの既存のLPWAではスループットが足らず、Wi-Fiでは距離が足りませんから、その中間を埋める無線技術が必要だと考えたのです。
ただし、実は最初、開発にはかなり苦戦しました。
――どうしてですか。
テリー Wi-Fiのチップ開発は非常に複雑です。しかも我々は、外部からライセンスを購入するのではなく、低消費電力かつ高性能のIoT用途に特化したチップをゼロから開発しました。そのため時間がかかり、量産品の出荷を開始したのは約4年前のことでした。2020年よりサンプル出荷、2022年より量産を開始しています。












