「SigfoxやLoRaWAN以外にも、多くのLPWA技術が登場してきている。その中でもIEEE802.15.4kは、2大規格に次ぐ位置を狙える技術だと考えている」
世界初となる「IEEE802.15.4k(以下802.15.4k)」対応のサブGHz帯無線LSIチップ「ML7404」を開発、7月にサンプル出荷を開始したラピスセミコンダクタ(本社・横浜市港北区)の野田光彦氏は、この無線技術に強い期待を寄せる。
ラピスセミコンダクタ LSI商品開発本部 ローパワーLSIビジネスユニット
マーケティングチーム 第三グループ 担当部長 野田光彦氏
802.15.4kは、低消費電力の端末を用いてインフラ設備などの監視を行う無線システム「LECIM(Low Energy Critical Infrastructure Monitoring)」を実用化するため、2013年にIEEE(米電気電子学会)で標準化された技術規格だ。ZigBeeの物理層に用いられるIEEE802.15.4の拡張仕様として策定されたが、規格再編により現在は802.15.4の一部となっている。
必ずしも新しい規格とは言えない802.15.4kに対応した無線LSIを、今、ラピスセミコンダクタが投入する狙いはどこにあるのか――。野田氏が大きな理由として挙げるのが、802.15.4kが持つ高い「妨害波耐性」だ。
SigfoxやLoRaWANなどのLPWAシステムの多くは、1000MHzよりやや下のサブGHz帯の免許不要帯域(日本では920MHz帯)を使う。無線LANなどに利用されている2.4/5GHz帯と比べ、電波が物陰にも回り込み、遠くに届きやすい特性を持つことに加え、現状では帯域が空いており、他のシステムと干渉する可能性が低いことなどが理由だ。小出力で広域エリアをカバーするLPWAにとって干渉が少ないことは、重要なファクターとなる。
とはいえ今後、LPWAの利用が拡大すれば、サブGHz帯も混み合ってくる。そうなった時、「妨害波の影響を受けにくく、自らは他のシステムに妨害を与えにくい802.15.4kは、最良の選択肢になり得る」(野田氏)と見るのだ。