NTT東西は2010年6月1日から、NGN(フレッツ 光ネクスト)の新サービスである帯域確保型データ通信「データコネクト」の提供を開始した。これまで企業ユーザーにとって新しいNGNのサービスと言えば、高精細なテレビ会議ぐらいであった。そこに新たなデータ通信サービスが提供されたわけである。
このデータコネクトがどのようなもので、企業ユーザーはどのような使い方をすればいいのかを検証した。前編ではまずデータコネクトの概要と仕組みを解説する。
企業ユーザーにとってのNGN
NGNの特徴と言えば、「QoS」「安心・安全」「オンデマンド」などであり、商用サービス開始前には企業ネットワークのWAN構築のための新たな選択肢として大いに期待されていた。
しかし、実際に2008年3月に商用サービスが始まってみるとBフレッツで提供されていたサービスとの差はあまりなく、企業の情報システム担当者や企業ネットワークの構築を請け負うSIerからは落胆の声も多く聞かれた。
商用サービスが開始されてから2年あまりが経過したが、その間に開始されたサービスについても、従来にない新たなサービスとして注目されたのはハイビジョンクラスのテレビ会議システムなどごく限られたものであった。
結局、NGNは従来の電話網を置き換えるネットワークであり、サービス開始前に期待したような企業ネットワークの新たなインフラとして使えるようなものとは認識されなくなった感があった。
NGNが従来の電話網を置き換えるためのネットワークであるという位置付けはある面では正しいが、IPベースで構築されたネットワークであり、当然電話(すなわち音声)だけではなく映像もデータも流すことができるネットワークである。事実、フレッツ 光ネクストのサービス名で提供されているNTT東西のNGNでは、図表1に示すようなデータ通信サービスが利用可能である。
図表1 2010年5月までのNGNにおけるデータ通信サービス |
しかし、「ビジネスイーサ ワイド」は広域イーサネットのサービス、「フレッツ・VPNゲート/ワイド」は技術的には「ISP接続」と同様にPPPoEを使ったベストエフォートのIP-VPNサービスであり、これらのサービスをNGNの範疇に入れることにはかなり抵抗がある。
また、「フレッツ・キャスト」のベストエフォートサービスでもデータ通信は可能だが、NTTの局舎内接続であるSNIの通信サービスであり、最低でも月額80万円(100Mbpsシングルクラスの場合)が必要になること、およびNTT東西間で接続できない点から、フレッツ・キャストを企業内または企業間の通信に利用するには課題が多い。「ビジネスイーサ ワイド」以外のNGN上でのデータ通信サービスについて、その接続パターンを図表2に示した。
図表2 NGNにおけるデータ通信の利用パターン |