「様々な形で無数にデータがあるが、それらが出会わなければ、価値が生まれることはない。異なる何かが交わることで、新しい価値は生まれる」
IoTオーケストレーションサービス「enebular(エネブラー)」のエンタープライズ・プランを2018年1月から提供開始すると発表したウフル。同社 代表取締役社長 CEOの園田崇氏は、enebularを「IoTオーケストレーション」と名付けた理由をこう説明した。
enebularのサービスイメージ
enebularは2014年、オープンソースのノンプログラミング開発環境「Node-RED」ベースのデータ連携プラットフォームとして無償での提供が始まった。アイコンをつなげていくだけで、クラウドやデータベース、ソーシャルメディアなどの間のデータ連携を実現できる。
「現場で様々なIoTプロジェクトに携わる中で、『まず必要』と思ったのが開発スピードを向上できるツール。そこでNode-REDを活用した。GUIでデータフローを作成できるので、当社のコンサルタントがステークホルダーと仕様について話しながら、極端にいうと1日でデータフローを作成できてしまう」(専務執行役員 CTOの古城篤氏)
現在では、可視化ツールをはじめ、様々な機能が拡張されており、Node-REDベースの機能は「全体の機能のごく一部になっている」(専務執行役員の八子知礼氏)という。
enebularの構成図
enebularの価値として、古城氏が特に強調したのは、単にデータをつなぐだけではなく、「3層の違ったカルチャーもつないでいける」という点だ。
例えば、エッジのデバイスからクラウドまでを一貫したツールによって開発可能。また、可視化やAIモデルなどのIoTに必要な“アセット”を、クラウド、ゲートウェイ、デバイス(エッジ)というIoTを構成する3つの異なるレイヤーに対して、透過的にデプロイし、運用管理していくことができるという。
なお、enebularはIoTに必要な“アセット”をすべて独自に用意するサービスではなく、各種IoTプラットフォームとの連携により実現するというポリシー。例えば、AWS IoT、Heroku、Arm Mbed Cloud、Docker、ABEJAなどと連携している。
そして、IoTに必要な“アセット”の3層への透過的なデプロイ・運用管理により可能になることの1つが、エッジとクラウドの分散協調だ。いわゆるエッジコンピューティングで、高速なレスポンス、高いセキュリティ、通信量の削減が実現できる。
「我々はenebularで、自律分散社会を作っていきたい」と古城氏は話した。
デバイスにも“アセット”を透過的にデプロイ可能になることでエッジコンピューティングを実現