約42億円の資金調達を先週末に発表したばかりのSansanが事業戦略説明会を開いた。同社は法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と、個人向け名刺管理アプリ「eight」の2つの事業を展開するが、この日のテーマは前者のSansanである。
Sansanの導入メリット
Sansan事業部長の富岡圭氏は、Sansanの導入企業数はすでに6000社を突破しており、「ここ数年は、全社導入する大手企業も増えている」と説明。例えば、KADOKAWAや三井住友銀行、電通が全社員・全行員にSansanを導入している。
「Sansanの最大の特徴は、営業のチャンスを広げられること」。同社 デジタルトランスフォーメーション室 室長の芳賀諭史氏はこう語ったが、デジタル化した名刺情報を組織を越えて共有することで、そのメリットを最大化できるためだという。
クレディセゾンの場合、他部署の名刺情報も活用することで、新規の契約件数が30%増加したそうだ。
主なSansanの導入企業
名刺のデジタル化で「デジタルトランスフォーメーション」を!会見中、繰り返し出てきたのが、「アナログである紙の名刺のデジタル化」というフレーズだ。
「デジタルデータを活用し、企業の事業活動を変革していくのがデジタルトランスフォーメーション。アナログの名刺情報をデジタル化してきたSansanは前々から、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを行ってきたといえる」と芳賀氏。
このデジタルトランスフォーメーションの文脈からも注目されるのが、Sansanにこれまで取り込まれた数億枚の名刺データのAI活用だ。SansanのR&Dチームには、十数名の画像処理・機械学習のスペシャリストやデータサイエンティストが在籍しているという。このR&Dチームが、AIを活用した新機能の研究開発に現在取り組んでいるそうだ。
「AIが人脈データベースを解析することで、誰と誰が出会い、どんな企業同士がビジネスを行ったのか。過去のやりとりから、今後どんなビジネスが生まれてくるのかという将来を予測し、次に会うべきなのかは誰かを提案する」(富岡氏)
提供時期はまだ未定だが、Sansanのプライベートイベントが開かれる来年3月までには間に合うように開発を進めているという。
今後の事業目標は、「2年後に導入社数1万社」(富岡氏)。シンガポールを中心に、海外展開にも一層力を入れるとのことだ。
Sansanの導入者数の推移。2年後に1万社を目指す