TD-LTEベースの新コードレス電話「sXGP」――1.9GHz帯自営用バンドで2017年度から利用可能に?

TD-LTEベースのコードレス電話規格「sXGP」の検討が進んでいる。実現すれば、1.9GHz帯の自営用コードレスとしてLTEスマホが利用可能になるほか、IoT用途でも活躍が期待される。

1.9GHz帯の自営用バンドに、LTEベースの新しいデジタルコードレス電話規格「sXGP(shared XGP)」を導入しようという議論が、情報通信審議会の「デジタルコードレス電話作業班」で7月から行われている。sXGPを推進するXGPフォーラムが2017年度の商用化を目指している。

1.9GHz帯の自営用バンド(1893.5~1906.1MHz)は、家庭や事業所用のコードレス電話向けの帯域として1993年から使われてきた。

その後2010年には、従来のPHSに加えて、高品質な音声通信や高速データ通信に対応可能な「広帯域デジタルコードレス電話」として、「DECT」と「sPHS(superPHS)」の2つの規格の利用が認められている。

DECTは、110を超える国/地域で導入されているコードレス電話の国際規格で、日本でも累計744万台以上の端末が出荷されている。当初は家庭用が主だったが、近年はPBXに収容する事業所用コードレスの分野でも普及し始めている。

もう1つのsPHSは、次世代PHSとして登場した「XGP」をベースにしたコードレス電話規格だが、XGPが失速したこともあり、市場に製品は出てきていない。

既存LTE端末が使える検討中の新規格sXGPは、このsPHSの「後継」としてXGPフォーラムが標準化を進めているもの。TDD方式のLTE「TD-LTE」をベースとしているのが最大の特徴だ。XGPフォーラムは、sXGPをできる限りTD-LTEに準拠させるとしている。

しかも非常に興味深いのは、1.9GHz帯の自営用バンドの帯域が、LTEの国際バンド「BAND39」と重なっていることである(図表1)。BAND39は、加入者数が8億を超えるチャイナモバイルがTD-LTEで利用するバンドであり、iPhoneをはじめ数多くのLTE端末が同バンドをサポートしている。sXGPでは、これを活かして、既存のLTEスマホを自営用コードレス電話として利用可能にしようとしているのだ。


図表1 sXGPの導入が検討されている周波数帯
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図表1 LTE方式デジタルコードレス電話(sXGP)の導入が検討されている周波数帯

では、sXGPは具体的にどのような規格になるのだろうか。7月にXGPフォーラムが行った提案によると、sXGPには搬送波幅が異なる2種類の通信モードが設けられている。

まずは、5MHz幅の搬送波で運用されるモードだ。5MHz幅は、TD-LTEで使われている搬送波幅(5、10、15、20MHz)の1つ。搬送波幅を同じにすることで、既存のLTE端末がそのまま利用できるというコンセプトを実現しようとしている。

LTEは、回線交換モードを持たないため、音声通話はVoIPで行われる。もちろん音声以外の通信も可能で、監視カメラや各種センサーなどのデータ通信用途でも利用できる(図表2)。従来、オフィスや工場などの「無線LAN」はWi-Fiで構築するのが通常だったが、1.9GHz帯の自営用バンドとTD-LTE互換の無線技術を使っても構築できるようになるわけだ。

図表2 sXGPの利用イメージ
図表2 sXGPの利用イメージ

XGPフォーラムでは、5MHz幅モードの送信電力条件として基地局200mW、端末100mWを提案している。この条件下では、変調方式がQPSKの場合、下り723kbps/上り70kbpsの速度で、約530mの通信が可能。64QAMだと下り8.5Mbps/上り861kbps、約102mだ。

月刊テレコミュニケーション2016年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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