“APIエコノミー”でさらなる成長を目指す ―― HPE Arubaが新プラットフォーム戦略を発表

ネットワークソリューションベンダーのHPE Arubaが9月末、新戦略「Aruba Mobile First Platform」を発表した。HPE Aruba製品で構築される有線・無線LANインフラから得られるユーザー/デバイスの“コンテキスト情報”をパートナーに開放。APIを介して上位アプリケーション/サービスからネットワークを柔軟に制御できるようにする。

Aruba Mobile First Platformとは、無線LANコントローラ向けの最新版OS「ArubaOS 8」や、アクセス認証・制御基盤「Aruba ClearPass」、位置情報の解析を行う「Aruba Analytics and Location Engine(ALE)」、屋内ロケーションベースサービスの提供基盤「Meridian Mobile App Platform」等で構成されるソフトウェアレイヤーであり、下の図表のように、HPE Arubaのネットワークインフラ製品(LANスイッチや無線LANアクセスポイント等)が収集するモバイル端末やIoTデバイスの情報を使って、上位のアプリケーションからネットワークの機能を動的にカスタマイズできるようにするものだ。

ITサービスや業務アプリケーションの開発者は、ArubaOS 8やClearPassで提供されるノースバウンドAPIを介して、ネットワークインフラから得られる情報を活用できるようになる。


Aruba Mobile First Platformと外部サービス/アプリケーションの連携イメージ

例えば、社内ネットワークにアクセスしている社員が「どのデバイスで」「どこから」「どのアプリケーションを使い」「何を行っている」といった、いわゆる「コンテキスト情報」を、業務アプリケーション側で理解し、ユーザーの状況に応じてネットワークを動的に制御できるようになる。使用が許可されていない端末からアクセスしていたり、業務上必要がないアプリを使っている社員がいた場合に、そのアクセスを自動的に遮断したり、音声通話やビデオ通信といったリアルタイム性の高いアプリを使っているユーザーには、快適にコミュニケーションが行えるように広い帯域を割り当てるといったアクションが自動的に行えるようになる。

また、ネットワークのコンテキスト情報を分析することで、モバイルデバイスを持つ人の行動や、ネットワークの使われ方をより詳細に把握することも可能になる。例として、小売店舗を訪れた人を、所持しているスマートフォンのデータから特定し、その行動を分析したり、オンラインおよびオフラインの行動履歴からその嗜好に合致しそうな商品やキャンペーンをアナウンスするといった使い方が考えられる。


Aruba Mobile First Platformを構成するコンポーネント群。それぞれAPI関連の機能が強化された

このように、モバイルアプリケーションやセキュリティ製品、あるいは特定業種向けソリューションの開発者に対して“ネットワーク内のデータ”を開放することで、パートナーが付加価値の高いソリューションをより迅速に提供できるようにしようというのがHPE Arubaの狙いだ。つまり、APIによって複数のサービスやシステムを連携させ、新たなビジネス価値を創出する「APIエコノミー」を次の成長戦略の軸に据えようというのだ。

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