NECカシオ山崎社長「“3年以内に1位”は不可能ではない」

NECとカシオ日立モバイルコミュニケーションズとの事業統合により誕生したNECカシオモバイルコミュニケーションズ。山崎社長は、NECのクラウド技術やカシオの防水・防塵・耐衝撃性能、日立の家電技術を活かした製品を統合の成果として出し、3年以内の国内シェアNo.1を狙うと語る。

――6月1日にNECとカシオ日立モバイルコミュニケーションズが事業統合し、NECカシオモバイルコミュニケーションズが発足しました。

山崎 構想から1年余り、ようやくここまで来たかという気持ちです。いざ実現してみると、自画自賛するわけではありませんが、「いい相手と組むことができた」と思います。

というのも、両社にはNECにはないものがあるからです。カシオはCDMA2000方式の携帯電話を手がけており、国内ではKDDI、海外では米ベライゾン・ワイヤレスに供給しています。タフネスケータイ「G’zOne」やデジタルカメラ「EXILIM」のほか、腕時計や計算機などでも強力なコンシューマーブランドを持っています。

一方、日立には「家電の目」があります。KDDIから夏商戦向けに発売される「beskey(ベスキー)」は、「決め打ち」「流し打ち」「両手打ち」といったキーの打ち方に合わせてテンキーシートを取り替えられるようになっています。消費者の使い勝手を考えた発想であり、家電製品を作っている会社ならではの商品です。

NECがコンシューマー向けに商品を開発する際、注視するのはデザインの観点であり、「利用者がどう使っているか」という視点は少々欠けていたように思います。これは合併するまで気づかなかったことであり、合併効果の1つといえるでしょう。

――持ち味の異なる3社が統合することで、各社のブランドの活用など相乗効果が期待できますね。

山崎 3社のブランドが使える状況にあるのは有利なことです。商品のコンセプトとマーケットを考え、一番有利なブランドを利用していくつもりです。海外に関してはカシオの知名度が高いので、カシオブランドを活かした展開をすることになるかもしれません。

料理にたとえれば、今までは中華しかなかったけれど、洋食やイタリアンの材料も揃った状況です。それをどう料理するかは我々の腕次第です。深く考えずに混ぜるだけではおいしくなくなります。まさに腕の見せ所だと思います。

――今後、ドコモ向けにカシオブランドを展開したり、au向けにNECブランドを展開する可能性はありますか。

山崎 あると思います。ただ、ブランドの数が増えるとお客様も増える一方、混乱を招く可能性もあります。また、通信事業者に対する配慮も必要です。先ほどの例にならえば、使える材料が揃ったからといって、無作為に料理するとごった煮になってしまうので難しい問題です。

月刊テレコミュニケーション2010年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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山崎耕司(やまさき・こうじ)氏

1952年4月1日生まれ。72年4月NEC入社。94年7月同社モバイルコミュニケーション事業部第二商品開発部長、2003年4月同社モバイルターミナル事業本部 上席中国事業プロフェッショナル、05年7月同社モバイルターミナル事業本部副事業本部長、08年4月同社執行役員兼モバイルターミナル事業本部長、09年12月NECカシオ モバイルコミュニケーションズ社長、現在に至る

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