――クラウドの普及が、企業ネットワーク市場にも多大な影響を与えています。
川北 ある業界最大手のネットワーク機器ベンダーの決算報告書を読むと、データセンター向けの売上は14%も伸びているのに、全体の売上は横ばいでした。
当社ではデータセンター市場を「NorthSIDE」、エンタープライズ市場を「SouthSIDE」と呼んでいますが、両者の市場規模を比べると6:4、下手すると7:3の割合でNorthSIDEのほうが大きいと思います。その規模の大きいNorthSIDEが14%伸びているのですから、SouthSIDEの売上がよほど足を引っ張らないと、全体が横ばいにはなりません。
――クラウド化が進展するなか、エンタープライズ市場は非常に苦しい状況にあるということですね。まさにその苦しいSouthSIDEを軸に事業を展開しているのがアライドテレシスですが、最近の業績は2期連続で経常利益が赤字でした。やはりクラウドの影響は甚大でしたか。
川北 サーバーがデータセンターへ移行してしまえば、当然、SouthSIDEのネットワーク機器の需要は減ります。我々がどれほどの苦労を強いられてきたか。
また、無線化の影響も大きかったです。当社も無線LANソリューションは提供していますが、無線LANアクセスポイントは安価なので、全体の売上は下がります。
――この逆風をどう乗り越えますか。
川北 クラウドのビジネスで誰が最終的に勝つかというと、最も資本力があるプレイヤーです。スケールメリットを出せないプレイヤーは勝てません。データセンター向けビジネスには乗り遅れましたが、そもそも我々くらいの規模の会社が勝てたかというと少し疑問です。
では、どうするか。アライドテレシスはSouthSIDEで勝負していくしかありません。ただし、他社と変わらないものを売るのでは、お客様はより安いほうに流れるだけ。NorthSIDEと同様、規模の勝負になるため差別化できません。個々のお客様の要望を聞き、その目的に応じたネットワークを提案・設計する“ネットワークのプロフェッショナル”の部分で勝負していくほかありません。
――価格勝負はせず、付加価値で勝負していくと。
川北 その通りです。ソリューションのストーリーをしっかり作り、SouthSIDEに売り込んでいくことが必要です。そこで生まれた発想が「SouthSIDE SDN」でした。エンタープライズネットワークに最適な2つのSDNソリューションを提供しています。