アプリで新規顧客獲得を目指す損保ジャパン日本興亜の西澤敬二社長は15年12月の社長就任会見で、「デジタル戦略に力を入れる」とデジタル技術を駆使して事業のさらなる成長を目指すことを宣言している。
そんな同社にとって、デジタル技術を活用するPSRは、戦略性を帯びたアプリと言える。PSRで提供できる安全運転や安心機能、カーナビ機能などの付加価値は、既存顧客に満足度を提供するだけでなく、新規顧客の誘引にも有効だ。
現在、個人契約者向けに提供しているPSRは、トライアル的な位置付けだ。損保ジャパン日本興亜は新規顧客の開拓に向け、16年8月からは同社の契約者以外にもPSRを提供する予定だ。
その本格展開を前に、PSRの機能強化を進めている。キーワードは自動化とリアルタイム化だ。
自動化の例として、事故の衝撃をアプリが検知し、事故サポートセンターに自動通知する機能を提供することを計画している。通知を受けたセンターのスタッフは、事故を起こしたであろう契約者に連絡することで、迅速な事故対応を実現する。
またカーナビでは、案内ルートや目的地の天候の変化によるリスクをリアルタイムに分析する機能も開発中だ。保険会社として保有してきた事故多発地点に関する情報を活用し、事故多発地点を避けるルートを提案したり、制限速度を超える運転を検知するとアラートを発したりする。
PSRの心臓部をなすのは、走行データを分析するためのアルゴリズムであるため、同社はデータサイエンティストを採用してそのアルゴリズムを自社開発した。成長を担う事業を切り開く戦略技術の開発は、外部に委託しない。
損保ジャパン日本興亜は、デジタル技術を核にして業容拡大を進めていく。