日本は少子高齢化による労働人口の減少という深刻な状況に直面しており、女性や高齢者の活用は喫緊の課題だ。さらに地方活性化という目的も加わり、国を挙げてワークスタイル変革を推進している。その実現のための基盤の1つとして昨今、注目を集めているのがユニファイドコミュニケーション(UC)だ。
メールやインスタントメッセージ(IM)、プレゼンス、Web会議など多様なコミュニケーション・コラボレーションツールを統合して活用するUCは、場所や時間に縛られない柔軟なワークスタイルを可能にするものであり、生産性向上や業務効率化、ダイバーシティの実現などに効果が期待できる。
また、スマートデバイスの普及やフリーアドレスの浸透も、多くの企業がUCを導入し始めた背景の1つに挙げられる。
さらに、月額制で手軽に利用できるクラウド型のUCサービスが相次いで登場しており、中小企業における導入のハードルも下がっている。他方、大企業でも「かつて根強くあったクラウドに対する抵抗感は薄れており、クラウド利用が当たり前のようになっている」(UCベンダー関係者)という。このため、クラウド型UCは企業の規模や業種に関係なく導入が進んでいるようだ。
また、クラウド型UCを提供するプレイヤーも、大手ITベンダーから通信事業者、PBXベンダーまで多岐にわたり、新たに参入するプレイヤーも少なくない。例えば、米ジェンバンドは、音声通話やメッセージ、テレビ電話、グループ通話など、これまでハードウェアで提供してきたリアルコミュニケーション製品をクラウド化し、「KANDY」「fring」「NUViA」として展開している。
このうちNUViAは、クラウド型UCを提供したい企業向けのクラウドサービスだ。日本法人ジェンバンド・ジャパン営業副社長の易傑氏は「ホワイトラベルとして提供しており、有名なサービスの再販ではなく、自社ブランドの独自サービスとしてクラウド型UCを提供できるのがアピールポイント」と話す。
ジェンバンドのクラウド型UCはホワイトラベルで提供されるので、自社ブランドの独自サービスとして展開できる |
今後さらにクラウド型UC市場は活況を呈していくと見られるが、クラウド型UCを広く捉えた場合、“2強”として挙げられるのが、日本マイクロソフトの「Office 365」のアプリケーションの1つである「Skype for Business(以下、SfB)」と、グーグルの「Google Apps」だ。国内でもすでに数多くの企業が、SfBとGoogle Appsを採用している。
ただ、こうしたクラウド型UCを従来型のPBXやテレビ会議などと比較した場合、機能や使い勝手の面で課題を感じることもある。
そこで増えているのが、SfBやGoogle Appsなどのクラウド型UCの機能や使い勝手を補完するソリューションだ。ここからは、(1)音声通話、(2)会議システム、(3)運用管理に分けて、そうしたソリューションを紹介していく。