OKIネットワークス西郷社長「PBX/ビジネスホンは生存競争」

生き残りのために、シェア向上でコスト競争力を高める――。PBX/ビジネスホン市場の生存競争に向けてそう「覚悟」を口にするOKIネットワークスの西郷社長。ICTシステムのワンストップ提供に向けた新組織の立ち上げ、パナソニックとの協業開始など、今後の舵取りの方針を聞いた。


――2008年10月にOKIの通信事業を分社化してOKIネットワークスが誕生してから1年半ほどが経ちました。まず、これまでの成果を振り返ってみていただけますか。

西郷 分社化による意思決定のスピードアップ、キャリア向けと企業向けの事業の融合を主目的としてOKIネットワークスを設立しました。

キャリア向けと企業向けでは、事業の性質は異なっていますが、商品企画・開発のベースとなる技術には共通する部分が多くあります。キャリア向け事業で培った技術力を企業向けにも活かしてNGN対応の「融合商品」を開発するというのが最も大きな使命だったわけです。

その融合商品の第1弾として昨年度、NGN対応ブロードバンドルーターの技術をベースに開発したSOHO向けのIPテレフォニー製品「IPstage 1000」をリリースしました。

――最初の成果が出たということですね。

西郷 キャリア向けにOEM提供するブロードバンドルーターと、企業向けのIPテレフォニー製品「IPstageシリーズ」とは従来、まったく異なるアーキテクチャに基づくものでした。ところが今回開発したIPstage 1000は、従来のIPstageシリーズの商品とは違って、ルーター開発のプラットフォームから生まれたものです。そのため、開発・生産コストを大幅に圧縮しながらもハードウェア性能の高いものができました。まさに融合の成果と言えるでしょう。

今後も第2、第3と、次々に融合商品を出していきます。

NGN“第2ステップ”に備える

――OKIネットワークス設立にはもう1つ、新市場の開拓に向けてマーケティングを強化し、企画提案型のビジネスモデルを早期確立するという大きな目的がありました。キャリア向け事業の現状については、どう見ていますか。

西郷 ネットワーク更改のニーズはNGN構築である程度一巡しました。ちょうど端境期に差し掛かったというのが現状です。

ですから、派手なビジネスは期待できないのですが、逆に言えば、今後さまざまなネットワークの維持・メンテナンスのニーズが出てくるはずです。まさにOKIが持つノウハウを発揮できる部分で、若干地味なのですが、最も我々が必要とされるところでもあります。着実にそうしたニーズに応えていきます。

またそれと並んで、NGNについては構築が一段落したとはいえ、第1ステップとして構築したネットワークを徐々に高度化していく段階に入ります。これから上位レイヤも含めてさまざまな機能アップの動きが本格化しますので、今、その提案を進めているところです。

――それは、NGNの新サービスに関わる部分ということですか。

月刊テレコミュニケーション2010年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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西郷英敏(さいごう・ひでとし)氏

1977年3月東京大学工学部機械工学科卒業、同年4月日本電信電話公社入社。2002年4月NTTコミュニケーションズ ブロードバンドIP事業部IPテクノロジー部長、04年6月同社理事ブロードバンドIP事業部長。07年7月沖電気工業執行役員情報通信事業グループネットワークシステムカンパニーEVP、08年11月キャリア事業本部長、2010年4月常務執行役員・通信システム事業本部長、OKIネットワークス代表取締役社長に就任。現在に至る

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