ワイヤレスジャパン初日の基調講演で、ノキアソリューションズ&ネットワークスIPルーティング&トランスポート・IPルーティング本部長の鹿志村康生氏は、同社のIoT戦略について、製品ポートフォリオやユースケースを交えながら紹介した。
ノキアソリューションズ&ネットワークスの鹿志村康生氏 |
ノキアはIoT市場において、①自動車などのコネクテッドオートモーティブ、②電力や水道などのコネクテッドユーティリティ、③コネクテッドセキュリティー、④交通システムなどのコネクテッドシティー、⑤コネクテッドヘルス&ホームにフォーカスしている。
IoTに関する製品ポートフォリオについては、デバイス、アプリケーション、ネットワーク、プラットフォームの4つのレイヤでEnd to Endのソリューションを提供している。
しかし、自社のソリューションだけでは拡充が難しいことから、今年4月にはフランスのWithings社を買収し、新たにデジタルヘルス産業に参入した。また、IoTに関する技術的・マーケット的検証を行うパートナーエコシステム「ng connect program」を立ち上げている。技術的な相互接続性検証から技術ソリューションを構築後のトライアル、効果測定まで一貫して行えるのが特徴で、参加団体はユーザー企業やベンダー、公的機関など250以上にのぼる。すでに、ニュージーランドや台湾など各国でコネクテッドサービスカーやコネクテッドシティー、リモートヘルスケアなどの成功事例も生まれているという。
プラットフォームレイヤでは、IoTプラットフォーム「IMPACT」を提供している。IMPACTは、コネクティビティ管理やデバイス管理、データ収集・プロセッシング、アプリケーションという4つのレイヤーとセキュリティを提供するものだ。このうちデバイス管理は、ノキアが買収したアルカテル・ルーセントで実績のあった「デバイス管理ソリューション「Motive」が発展したものとなっている。
IMPACTは、ソリューションや特定のマーケットごとにシステムを構築するのではなく、共通プラットフォーム上でさまざまなアプリケーションを提供する。これにより、「システム構築やオペレーションにおけるコスト削減が可能になる」と鹿志村氏は述べた。IMPACTは高いスケーラビリティに対応することが可能で、中には1億台以上のデバイスを管理する通信キャリアにも採用されている。
そしてネットワークについては、5G以外にIoTに向けた取り組みとして、NB-IoTやLoRa、eMTCなどの標準化を推進するとともに製品サポートへの反映に取り組んでおり、来年にも実際の製品にサポートされるという。