これからMVNO市場はどう変わる?(後編)――HLR/HSS連携で実現できること

総務省のHLR/HSS連携の促進方針を受け、ドコモと日本通信との協議が始まった。日本通信は意欲的なサービスプランを打ち出しているが課題も残る。後編では、HLR/HSS連携により実現できるサービスを展望しながら、一方で待ち受けている課題について詳しく見ていく。

2015年12月9日、日本通信の福田尚久社長はNTTドコモを訪れ、自社のHLR/HSSをドコモのネットワークとつなぎ、回線交換やVoLTEによる音声通信サービスを提供したいと申し入れた。これは総務省が11月、HLR/HSS連携を「開放を促進すべき機能」と位置づける方針を打ち出したことを受けたもので、HLR/HSS連携の実現に向けたMVNOと携帯電話事業者との協議がいよいよ本格化する。

HLR/HSS連携は、多様なMVNOサービスを可能にするといわれている。例えば、日本通信はこの協議を通じて月額980円程度の安価な音声定額サービスの実現を目指しており、福田社長は「できれば2016年中にサービスインに持っていきたい」と意欲を見せる。

しかし、MVNO関係者の中には、早期に合意が成立するのは難しいと見る向きも少なくない。IIJの佐々木氏は「パブリックコメントなどを見ても、ドコモとMVNOのスタンスは大きく離れている」と指摘する。

実際、日本通信は2011年からドコモにHLR/HSS連携を求めているが、交渉はこれまでほとんど進展してこなかった。

月刊テレコミュニケーション2016年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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