慈恵医大がドコモのスマホ3200台導入――利用制限緩和で動き出した医療分野のICT本格活用

昨年の携帯電話の利用制限緩和を受け、医療機関でのスマートフォン導入が本格化してきた。初の大規模導入事例となる東京慈恵会医科大学では、ドコモのスマートフォン3200台を内線サービスや医療用アプリなどで活用し、予防から治療、介護までをカバーするICTの医療フィールドを構築するという。

東京慈恵会医科大学は、付属4病院にNTTドコモのスマートフォン3224台と携帯電話364台を導入、10月から利用を開始した。

医療機器に影響を与える可能性があることから、医療機関では施設内での携帯電話の利用がこれまで控えられてきた。しかし、昨年8月に利用制限が緩和されたこと(電波環境協議会「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針等」)を受け、それまで利用していた医療用PHSを更改、スマホの本格導入に踏み切った。

10月26日に慈恵医大と共同で記者カンファレンスを行ったドコモの寺崎明代表取締役副社長は「3200台規模のスマホ導入は国内の医療機関では初めて、世界でもおそらく例がない」と語った。

慈恵医大のスマホ導入の全体像
慈恵医大のスマホ導入の全体像

寺崎副社長は利用制限緩和の要因として、医療機器の電波耐性が強化されたことや基地局との距離が近い場合は携帯電話の送信電力が小さくなっていることなどを挙げたうえで、「慈恵医大で具体的な検討を行っていただいた結果、全く問題がないという結論が得られた」と述べた。さらに「PCと同様の機能を持つスマホは、今後、医療機関でさまざまな形で利用されるようになるのではないか」とこれからの展開に期待を示した。

ドコモは医療現場におけるICTの活用の可能性を探るため、2011年から慈恵医大との共同研究を進めており、今回の案件はその成果を踏まえたもの。ドコモではこの事例を契機に全国8500の病院にスマホを利用した「モバイルワーク」を提案していく考えだ。

今年4月に慈恵医大に共同講座として開設した「先端医療情報技術研究講座」で、病院をフィールドとしたサービスの評価・検証を行い、医療分野の課題を解決する新サービスの創出につなげていく。

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