Wi-Fiモデルではなくセルラーモデルを選んだワケ工学院大学附属中学校が21世紀型教育への変革を本格化させたのは、前述の通り、3年前のこと。iPadの導入についても3年前から計画し、周到に準備を進めてきた。
まずは2013年に全教職員へiPadを配布。教職員自身がiPadに慣れると同時に、iPadを授業に活用していくための教材研究に取り組んだ。そして翌2014年、2015年4月に入学する中学1年生全員へのiPad貸与を決定。これを募集要項に盛り込んだうえで、生徒の募集を開始した。
生徒に貸与しているのはKDDIのiPad miniだが、そのポイントはWi-Fiモデルではなく、LTEも利用できるセルラーモデルを採用していることだ。
同校は、今年1月と8月の2期に分けて、校内の無線LAN工事を実施。設置した無線LANアクセスポイントの数は中学・高校で合計217台という、非常に充実したWi-Fi環境を整備している。
教室内に設置された無線LANアクセスポイント。複数ベンダーのアクセスポイントを実際に試したうえで、その同時接続数などを評価し、メルー・ネットワークスの製品を採用したという |
にもかかわらず、セルラーモデルを選んだ理由について、工学院大学 情報システム部・課長の小野垣仁氏はこう説明する。
「セルラーモデルなら、通学時や課外・学外活動はもちろんのこと、家庭にWi-Fi環境がない場合でもLTEが使えます。校内のWi-Fi環境の補完という意味で、セルラーモデルにしようと考えました。校内のWi-Fi環境は、アクセスポイントが半分落ちても授業ができるように設計していますが、それでも万が一はあります。そんなときもLTEでつながるので安心です」
工学院大学 情報システム部・課長 小野垣仁氏 |
また、同校が目指す21世紀型教育を実現するうえでも、セルラーモデルのほうが適していた。「新しい発想は、いつ思いつくか分かりません。『パッと閃いたのに、Wi-Fi環境がないからiPadが使えない』とならないように、LTEが使えるセルラーモデルにしました」と小川研究部主任は語る。
さらに小野垣氏は、「KDDIのセルラーモデルは、サポート面でもWi-Fiモデルより魅力的でした」とも話す。
工学院大学附属中学校はレンタル契約でiPadを導入しているが、特に魅力的に映ったのは故障時の対応だったという。KDDIのiPadレンタルサービスは、故障・紛失時に代替端末を即出しできるのが特徴の1つ。
代替機が来るまでは学校で購入済みのiPadを生徒に使ってもらうが、3日後には代わりのiPadが生徒のもとへ届く。このため、授業などへの影響を最小限に抑えられているという。
iPadの管理は、KDDIのMDMサービス「KDDI Smart Mobile Safety Manager(SMSM)」を利用して行っている。生徒が自分でアプリを削除したり、インストールできないように設定しているそうだ。
また、Web閲覧の際には、デジタルアーツのスマートデバイスWebフィルタリングサービス「i-FILTER」を適用。ブラックリスト方式によりアクセスできるサイトを一部制限しているほか、夜10時~朝6時まではブラウザを利用できないようにも制限している。