――2012年に持株会社からNTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)の副社長に着任してから3年間、主に法人営業を中心にNTTコムの事業を推進しました。これから社長として、何をミッションとしていきますか。
庄司 3年前は「Global Cloud Vision」を実現するという新たな流れの中で、「グローバル」と「クラウド」という新しいキーワードを営業の中で根付かせようとしている時期でした。ちょうど日本でもクラウドが普及し始めたタイミングと重なり、我々NTTコムがそうしたサービスをグローバルに展開できることをお客様に率先してご紹介できたことは、営業の責任者としてとても幸せだったと思っています。
有馬(彰・前社長)は2015年度にクラウド事業で「売上高2000億円」という目標を掲げました。私は、この事業をNTTコムの飛躍への基軸事業として位置づけ、その数字をさらに伸ばしていくことがミッションだと認識していますし、実際まだまだ伸びる可能性があると実感しています。
――NTTコムがNTTグループで果たす役割についてはどう考えていますか。
庄司 グループの中でグローバルにクラウドサービスを展開できる力とフォーメーションを持っているのは、NTTコムだけです。上位レイヤのNTTデータ、グローバルにシステムインテグレーション(SI)を手がけるディメンションデータとお互いの強みを組み合わせて、クラウドサービスを中心にグループ全体の海外売上高を伸ばしていく牽引役にならなくてはいけないと考えています。
クラウドサービスの基盤拠点数は、今年度末で世界13カ国/地域・16拠点に達する予定であり、NTTグループをグローバルで支えるだけの事業基盤はできあがっていると自負しています。
――どのキャリアもそうですが、国内通信事業は音声通話収入の減少に歯止めがかからず、海外事業や新規事業を伸ばすしか成長の方法がないというのが実情です。
庄司 国内収益のトレンドを見ると、成長する要素があまりないことは否定できません。とはいえ、我々としては新規顧客の掘り起こしも含めて努力しなければならない分野がまだあると見ています。
コスト構造の効率化を課題にしていますが決して後ろ向きな話ではなく、もっと効果的なネットワークに変えつつ国内の収益基盤を盤石にし、そこから上がる利益はクラウドサービスをグローバルに拡充するための原資にして必要なM&Aを積極的に行っていこうとしています。