AWSに代表されるパブリッククラウドの活用が企業の間で加速している。インターネット越しに、業務システムなどを利用するケースが増えているわけだが、これにセキュリティ上の懸念を抱いているIT管理者は少なくないだろう。
もちろん、AWSであればAWS Direct Connectという閉域接続の仕組みを用意するなど、クラウド事業者は、インターネットを介さない接続方法も用意している。VPNルーターを利用し、IPsec VPNで接続するという方法も可能だ。
ただ、こうした方法の課題は、コストとリードタイムがかかることである。特に、多店舗展開する流通業や、外出先でのモバイルデバイスからの利用などを想定した場合、このハードルは高くなる。
AWS利用時のネットワーク面での課題 |
そこで海外で注目を集めているのが、米Pertino社のVPNサービスだ。SDN/NFVを活用し、インターネット上に仮想ネットワークを構築することで、パブリッククラウドへのプライベート接続を実現するVPNサービスである。
PertinoはSaaS型で提供され、デバイスにソフトウェアをインストールすれば、あとはインターネット回線だけで、パブリッククラウドとのセキュアな接続が可能になる。
Pertinoの一般リリースは2014年1月から始まり、導入デバイスの数は現在、世界70カ国以上で4万台を超えるという。
そのPertino社が日本に本格進出する。2015年3月5日、都内で記者会見を開き、ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)とプレミアムディストリビューターパートナー契約を結んだと発表した。ソフトバンクC&Sのパートナーである富士ソフトやNECネッツエスアイ、JBCC、コムチュア、サーバーワークス、スターティアが国内で販売していく。
(左から)Pertino社のトッド・クラウトクレマー氏、ソフトバンク コマース&サービスの岩瀬直行氏、アマゾン データ サービス ジャパンの今野芳弘氏、富士ソフトの大迫館行氏 |
SDN/NFVを活用し、パブリッククラウドとデバイス間でトンネリング通信
「クラウドがコンピューティングやアプリケーションを変革してきたように、ネットワーキングの在り方を変えたいとの思いから、Pertino社は創設された。Network as a Service(NaaS)という考え方のもと、我々はサービスを提供している」
同社チーフマーケティングオフィサー(CMO)のトッド・クラウトクレマー氏はこう語るが、Pertinoとは具体的にどんなサービスなのか。その仕組みを図示したのが以下のスライドだ。
Pertinoの仕組み |
Pertinoは前述の通り、公衆網であるインターネット上に、プライベートネットワークを仮想的に構築するものだ。その実現方法としては、SDN/NFVを採用。クラウド上に置かれたコントローラの制御のもと、パブリッククラウド上のVスイッチ(仮想スイッチ)と、専用ソフトをインストールしたデバイス間でトンネルを張り、仮想ネットワークを実現する。
Pertinoの展開状況 |
Pertinoに対応するパブリッククラウドは、AWS、Google Compute、Rackspace、SoftLayer、Digital Ocean、Linodeの6サービス。対応するデータセンターの数は26で、ここにはAWSの東京リージョンも含まれている。なお、Pertinoのコントローラ機能も、AWS上に構築されているそうだ。
Pertinoの国内での提供料金は月額3750円(10ライセンス)~。利用するデバイス数によって料金は変わってくる。