IoT/M2M向け無線通信の新規格である「IP500 Alliance」が日本でも始動した。日本事務所である「IP500 Alliance Japan」が2015年2月に発足したのだ。
IP500は、EU域内の企業377社が企業連合を組んで開発を進めているドイツ生まれのセンサーネットワーク向け無線通信規格である。日本からもオムロンや豊田通商がメンバーとして参加している。
IP500 Allianceの主なメンバー企業 |
IP500が使用する周波数は1GHz以下の「サブGHz帯」。日本では915MHz/928MHzを利用するが、同様の無線通信規格としてはZigBeeやZ-Waveなどもある。これらの無線通信規格とIP500には、どのような違いがあるのだろうか。
IP500 AllianceのCEO兼議長のヘルムート・アダムスキー氏は「IP500は現在世の中にある無線技術のなかでも、非常に進んだ規格となっている」と2015年2月24日に都内で開催された記者会見でアピールした。
IP500 Alliance CEO兼議長のヘルムート・アダムスキー氏。IP500 Allianceの本部はドイツ・ベルリンにある |
アーキテクトグランドデザインのファウンダー兼チーフアーキテクトで、今回IP Alliance Japanのプレジデントに就任した豊崎禎久氏 |
最初にIP500に使われている基礎技術だが、業界のスタンダードが多く採用されている。物理層にはZigBee等と同じIEEE802.15.4、IPv6接続には6LoWPAN、さらにビルオートメーション用の通信プロトコルであるBACnet、EUの防火防犯認定規則であるVdSといった具合である。IP500は、これらの標準規格を活用しながら、次の特徴を実現している。
IP500の主なスペック(一番左)とZigBeeおよびZ-Waveとの比較 |
まず通信速度は500kbps、通信距離は500mである。つまり、ZigBeeやZ-Waveよりも高速で、遠くまで電波が届く。省電力性能については、電池で5~10年稼働できるという。
また、IP500対応デバイスはアドホックに接続され、メッシュネットワークを構築するのも特徴だ。「冗長性の機能も入っており、1つのデバイスが壊れても、すぐに別のデバイスを使ったルートでカバーできる」(アダムスキー氏)。最大ノード数も2000と多い。前述の通り、通信距離は500mあるので、かなり広範囲にわたるメッシュネットワークが構築可能なことになる。
さらにアダムスキー氏は、インターオペラビリティ(相互接続性)の高さ、無線通信だけではなくアプリケーションレイヤまでをトータル提供する「コンプリートのプラットフォームであること」などを、IP500の特徴として説明した。