「上り」と「機動性」を求める現場
第26回会合では、ローカル5Gビジネス共創研究会の委員長を務める東京大学の中尾彰宏教授から、会員企業の声を踏まえた新たな要望も出された。

ローカル5G普及に向けた現場の声と制度・技術への要望の一例(出典:中尾氏資料)
中でも時間を割いて説明したのが、通信リソース配分の上下比率を変更する非同期運用(TDD2/3)の利用条件の見直しだ。
同氏は、フィジカルAIの時代には映像やセンサーデータを送る「上り」が主役になると訴え、下り:上りの比率が3:5のTDD2、2:6のTDD3を利用しやすい制度・条件の整備を求める声があると指摘した。
同氏によれば、非同期運用では全国5G事業者との干渉調整が必要で、「(全国5G事業者の)携帯電話端末がエリア内にあると、TDD2/3を運用できない条件が上り大容量利用を妨げている」。例えば、スタジアム等で中継映像の伝送にTDD2/3を適用しようとする場合に、キャリア端末を持つ観客の入場を制限するというのは現実的でない。これを解消するため、隣接バンドや基地局配置等を踏まえた見直しを求めた。
これに対し三瓶主任は、人の出入りが制限される工場などで携帯電話の持ち込みを禁じ、まずTDD2/3を実現する方が先ではないかと応じた。また、TDD2/3の問題は通常の隣接チャネル干渉ではなく基地局間干渉にあり、丁寧な説明が必要だと指摘した。
NTTドコモの木原茉莉子氏も、「干渉が生じれば、MNO利用者のスループット低下や音声通話の途切れが起こる可能性はゼロではない」として、慎重な検討を求めた。そのうえで、現行方式では具体的にどの程度の容量が不足するのかを質問した。
中尾氏は、NTT東日本と国立競技場で実施したレフェリーカメラ映像の伝送などを例に挙げ、「現状は解像度を落として配信しており、カメラ台数が10倍、20倍になれば帯域が不足する」と説明。基地局間の離隔やアイソレーションを条件とする新たな制度も提案した。

国立競技場で実施した実証の構成(出典:中尾氏資料)
今回の会合では、このほかにもSub6帯への特定実験試験局制度の導入や、パナソニック ホールディングスが提案した敷地内で完結する省電力利用など多数の論点が示されたが、個別論点の結論や優先順位は示されず、今後の進め方は事務局と三瓶主任が調整することとなった。次回会合は12月1日に予定されている。













