無線LANの悩みを「持たない」「飛ばない」で解消

SIerのテクノバンが、無線LANの販売でユニークな取り組みを行っている。セキュリティリスクと管理負荷の増大を抑えるための工夫を凝らした提案で、まだ無線LAN導入が進んでいない中小企業の開拓を進める。

無線LANの導入コストと運用負荷を低減するソリューションとして、クラウド型WiFiサービスが注目され始めている。アクセスポイント(無線AP)を管理する無線LANコントローラの機能をクラウド型で提供するものだ。

ユーザーは、高価なコントローラを購入・設置する必要がなく、運用管理もサービス事業者に任せることができる。多数の拠点・店舗に無線LANを展開する場合や、IT管理者が不足している中小企業に適しており、最近は大手通信キャリア/SIerがこぞってサービスを立ち上げている。

このクラウド型WiFiサービスを2012年から提供しているのが、SIerのテクノバンだ。同社は従業員数100から200名程度の中小企業をメインの顧客としており、かなり早い時期から無線LANの提案・構築に力を入れてきた。その一環で、2012年の後半にクラウド型WiFiサービス「Air Secretary(エアー・セクレタリ)」を開始。無線LANの導入を検討する企業に対してオンプレミス型とクラウド型の両方を提案してきた。

「『無線LANは危ない』という印象はまだ根強い」

無線LANの導入時に課題となるのが、セキュリティ対策も含めた運用管理の負荷をどのようにして軽減するかだ。電波が社外に漏れたり、社員が私物のスマートフォンなどを安易に接続することで不正利用・侵入やウィルス感染、情報漏えいのリスクが高まることを不安視する声は多い。

テクノバンで無線LANの提案・構築を担当する藤本亜欧樹氏は「セキュリティ面を懸念するお客様は少なくない。IT担当者が導入したくても、決裁者が不安を感じて却下されてしまうケースもある」と話す。

セキュリティは適切な対策を取れば充分に担保できるものだが、「当社のお客様層では『無線LANは危ない』という印象がまだ根強い」。管理要員も不足しがちで、運用負荷の増大を懸念する企業も多い。そうした中で無線LANの販売を伸ばすためにテクノバンは、管理負荷の低減とセキュリティ強化にフォーカスした提案に特に力を入れている。

テクノバン テクノバン
テクノバン ITビジネス第2本部インフラソリューション部 ネットワークソリューションチーム主任の藤本亜欧樹氏(左)と山梨暁氏

その1つがクラウド型WiFiである。約2年前に「国内で初めて」(藤本氏)提供を開始。早期にクラウド型WiFiに目を付けたのは、その利点が、導入・管理コストを低減したいという顧客ニーズに合致するためだ。

Air Secretaryを利用するユーザーは、無線コントローラの購入が不要で、初期登録費用3万円と無線AP 1台当たり月額2980円の管理費用を支払うだけ。保守運用はテクノバンが行い、電波干渉源の特定や外部電波の影響などに関する調査・レポートも定期的に行う。ユーザーはAPのみを購入・設置し、コントローラは所有せず運用管理もテクノバンに任せられる。

「価格的にもメリットがあるため、導入担当者も上(決裁者)に提案しやすい」と藤本氏。また、テクノバンにとっては、重要な収益源である保守サービスの拡大にもつながる。

月刊テレコミュニケーション2014年12月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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